たま駅長、世界が注目 生前、各国メディアが取材…アルジャジーラも

和歌山電鉄の三毛猫駅長で世界的な人気を集めていた「たま駅長」が6月22日、死にました。和歌山電鉄が24日、発表しました。16歳でした。過去にはイタリアの新聞、シンガポールやアメリカのテレビ局が取材に訪れたほか、アルジャジーラも注目した異色の存在でした。

【写真特集】たま駅長、在りし日の姿 クリスマスにはサンタ姿に

イタリア紙「世界中を探してもない」

 「たま駅長」は、和歌山電鉄貴志川線貴志駅の三毛猫駅長として人気を集めました。「招き猫効果」でローカル線の活性化に一役買ったほか、最近では海外からも見物客が訪れるなど、地元経済もうるおしました。

 「たま駅長」は、海外メディアの取材も多く受けました。

 2010年4月、「たま駅長」はイタリアの新聞社の取材を受けました。有力紙レプブリカの記者は「イタリアだけでなく世界中を探してもこんな電車はない。ローカルコミュニティーを守る取り組みとして素晴らしい」と絶賛していました。

シンガポールのテレビ局「本物の猫がいてびっくり」

 2011年9月9日には、シンガポールのテレビ局が取材に訪れました。男性タレント2人が、駅長に「たまちゃん」と声をかけたり背中をなでたりしながら、貴志駅について紹介。出演者の李騰(リーテン)さんは「本物の猫がいてびっくりしました。番組を通じてシンガポールの人に日本の鉄道文化を伝えたい」と話していました。

 一方、亡くなる直前の2015年6月20日には、中東拠点の衛星テレビ局アルジャジーラが、鼻炎だった「たま駅長」の代わりに、駅長代行を務める三毛猫「ニタマ」を取材しました。

グルーバル企業も注目

 2011年10月には、アメリカのケーブルテレビ局から取材を受けました。番組は、動物専門チャンネル「アニマルプラネット」の、ネコばかり取りあげている「Must Love Cats」。取材した司会者のジョン・フルトンさんは「ネコのストーリーは色々聞いてきたが、経済的に影響を与えたというのはほかにない」と驚き、「駅長の英語『meow』(鳴き声)はとても良かった」と褒めていました。

 「たま駅長」には、グローバル企業も注目していました。2012年11月には、アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の米国本社(ジョージア州)のIR担当者から取材を受けました。同社では年に1度、株主に向けた事業報告書を発行しており、日本でアフラックのテレビCMに出演したたま駅長の話題を、ユニークな取り組みとして掲載することに。担当者は「間近で見たたまはとてもスイート(可愛い)。本社やアメリカの人も非常に関心を持っているので、有名な猫で多くの人が会いにくることも紹介したい」とベタ褒めでした。

最終更新:6月24日(水)20時25分

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三毛猫「たま駅長」死ぬ 和歌山電鉄、28日に社葬

 和歌山電鉄は24日、三毛猫駅長「たま」が22日夜に急性心不全で死んだと発表した。5月19日から鼻炎で治療していた。人間にたとえると80歳ぐらいの16歳だった。

【動画】4月の誕生日に祝ってもらったたま駅長

 たま駅長は1999年4月29日生まれ。旧南海電鉄貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市)にすみついたトラ猫が産んだメスで、貴志駅隣の小屋で飼われていた。

 2006年に和歌山電鉄に移管される際、線路や駅舎の用地を南海電鉄から買い取った地元自治体から小屋の撤去を求められ、飼い主が「猫が駅に住めるようにしてほしい」と和歌山電鉄の小嶋光信社長に直訴。「ふてぶてしいようで、どこか愛敬のある風貌(ふうぼう)」が見初められ07年1月、貴志駅の駅長に就任。一気に全国区となり、たま駅長をモデルにした駅舎や電車ができるなど、ローカル線を元気づけてきた。14年1月に「ウルトラ駅長」となり、全駅の駅長になった。

 その功績をたたえ、和歌山電鉄は28日午後0時半から、貴志駅コンコースで小嶋社長が葬儀委員長となり社葬を営む。

朝日新聞社

最終更新:6月24日(水)23時23分

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