【偽物のボランティア】青空と向日葵の会

こんな話を耳にすると、なんだか寂しい気持ちになります。

中学では、内申書というものがあります。...
これは高校受験に際して重要視されます。
その内申書の点数を良くするのが目的で、
ボランティア活動をする生徒がいるというのです。

ひょっとすると、誰にも知られず、
陰でボランティアをしている生徒もいるでしょう。
町内の清掃活動をしたり、
近所のお年寄りのために買い物に行ってあげたり。

「こんなボランティアをしています」
と自己申告した人の点数が上がり、
何も主張しない人は点数に反映されない。
そういうこともあるかもしれません。

ボランティアは、本来、報酬が目的ではないはずです。
なんだか、そこが割り切れません。

でも、「こんな考え方もあるな」と思いました。

 

八代将軍・徳川吉宗にまつわる有名なエピソードです。

吉宗は鷹狩に出掛ける前に、その地域に
「善行者、とくに孝行する者はいないか」
と調べさせていました。
そして、その者を表彰しました。

やがて、「良い事をすると公方様からご褒美をいただける」
という噂が広まったそうです。

あるとき、鷹狩りに出掛けると、行列の前を横切る者がいました。
背中に老人を背負った若者でした。

驚いた村役人が追い立てると、吉宗が見とがめます。

「なぜ、その若者を追い立てるのだ」

「はい、この者は、いままでほったらかしにしていた親を、
 急に背中に背負って出てきたのです。
 本当は親不孝者で、村の恥でございます。
 わたしどもで懲らしめますので、どうぞお見逃しください」

すると、吉宗は、

「親孝行というのは、たとえ真似事でも尊いものだ。
 その者にも褒美をとらせよ」

と指示しました。

さらに、
「ほかにも親孝行を真似する者があれば、
 そのたびに褒美を与えよ」
と言いました。