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私有地に山積の廃棄物、県外から搬入か 困惑の近隣住民「舞ったごみが庭に」 群馬・桐生市

 群馬県桐生市新里町鶴ケ谷の私有地に廃棄物が山積し、地元で問題となっている。建設作業で出た廃棄物を県外から運んでいるとみられ、住民は悪臭や道路への一部散乱があるとして、県などに「早く撤去してほしい」と訴える。一方、県は私有地のため土地の管理者に適正な処理を求めているが、「生活環境への支障が明確化していない」として命令や行政代執行による撤去などは行っていない。

 私有地は住宅街の向かい側に位置し、敷地面積は約4400平方メートル。木板やプラスチックなどが混ざった塊や、畳、じゅうたんなどが積み上げられている。

 登記簿によると、土地所有者は埼玉県内の外国人とみられ、2021年5月に取得。県や桐生署によると、その頃から数人の外国人男性が、県外の建設作業で生じたとみられる産業廃棄物を現場に搬入している。県外の建設業者が管理しているとし、埼玉県の川口、大宮や神奈川県の湘南などのナンバーを付けたトラックの出入りを確認したという。

 6日午前、敷地内で重機を動かしていた男性に取材すると、自身はトルコ国籍で1カ月前に来日したアルバイト従業員と説明。責任者については「トルコに滞在しているので会えない」と話した。従業員が「頻繁に変わる」とも述べた。

 近隣住民は県などに撤去を相談している。60代女性は「風が強い日だとごみが舞い、自宅の庭に落ちてくる」とし、男性(66)は「県職員が来ると一時的に作業を中止するが、夜中になると再び始める」と説明。同地区の自治会長(82)は「近隣からゴキブリやカラスが増えたとの苦情が寄せられている。県は問題を早期に解決してほしい」と訴える。

 県廃棄物・リサイクル課によると、市民から60件以上の連絡があり、建設業者の責任者に適正な処理やこれ以上の搬入を控えるよう注意している。ただ、現時点では①廃棄物が敷地内にとどまっている②周辺の生活環境に支障を来していない―と判断しているという。

 同課の担当者は「今後、周囲の生活環境に支障が出ていると判断すれば、行政代執行によって必要な分だけ除去する可能性はある」とした。