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スクラップ保管場、トラブル続出 千葉市は設置許可制に。しっかり許可を取得してまともな商いを心掛けで下さい。お願いします。Apex product

金属スクラップや廃車などの保管施設による近隣トラブルが後を絶たない。住民には「ごみ」でも施設側が「有価物」と主張した場合、既存法令の適用は難しく、行政は対応に苦慮していた。盗難車の保管場所になるなど犯罪に利用されるケースも目立つ。千葉市は設置を許可制とする全国初の条例を今月施行したが、全県で抜本的な対策のめどはたっていない。

騒音・振動・臭い・・・悩む住民

 千葉市若葉区多部田町の住宅街を抜けて車で数分走ると、道沿いに金属スクラップの山が見えてくる。2階建ての家の屋根に迫る高さで、囲いからあふれているものもある。周囲には重機が金属を潰す大きな音やモーター音が低音で響く。

 騒音測定では日中は平均60デシベル、夜間は55デシベルで、ひどいときには80デシベルになることがあるという。市の規定ではこの地区は55デシベル以下に抑える必要がある。「朝7時前から夜10時までずっとこの調子」。保管施設から20メートル地点に20年前から住む70代の男性と妻はため息をつく。

 隣に住む70代男性も、風で飛んでくる細かな金属片やほこりに悩まされている。「浄化槽も作らず汚水がU字溝に流されているようだ。ひどいにおいがするときもある」

 保管施設ができたのは3年ほど前。県内にある金属廃棄物の輸出入と販売をする会社の所有で、社長は外国人。保管施設内の事務所には日本語が通じる人がおらず、住民たちは「直接苦情を言うこともできない」と口をそろえる。

 千葉市によると、7月末時点でこのような再生資源物を収集、保管する「ヤード」は市内に75カ所ある。うち50カ所は若葉区内、49カ所は施設から100メートル以内に民家があるという。問題はこのような施設を規制する法令が現在ないことだ。

 金属くず、廃プラスチックなど20品目は産業廃棄物に指定されていて、処理や保管施設の設置・変更には事前の許可が必要だ。だが、家電製品や廃車など再生資源として買い取った有価物の場合、廃棄物処理法は適用されない。ある自治体の担当者は「廃棄物にしか見えなくても、業者が有価物だと主張したら、財産権の関係上、規制や強制力を持った指導はできない」と話す。

 一方で、廃棄物と同様の問題は起きている。過剰な積み上げ、重機や搬入トラックの騒音・振動、汚水や臭いの発生などだ。火災も相次いでおり、千葉市だけで、ここ3年で11件が発生している。

 行政も住民の苦情を受けて現地に立ち入りをしているが、根拠法令がないため、事前連絡のうえ行わざるを得ない。「検査時には苦情を受けた問題を一時的に片付けるなどしており、いたちごっこだった」という。

 このため、千葉市は全国で初めて、再生資源物の屋外保管について許可制とする条例案を発表。10月5日の市議会本会議で全会一致で可決された。違反した場合1年以下の懲役とするなどかなり厳しい内容だ。

 設置基準として、住宅などから100メートル以上離れた土地▽油・汚水の地面への浸透防止措置の実施▽スクラップの山の高さを5メートル以下にする――などを決めた。市の立ち入り検査の実施や住民説明会の開催についても規定した。

 千葉市の神谷俊一市長は「(業者の)財産権は考えないといけないが、公共の福祉の観点から憲法違反には当たらないと思う。不適切な施設には厳格に条例を適用していく」と述べた。

 さらに市は、10月16日に保管施設が市内でも多い若葉区の高根地区で住民説明会を開催。神谷市長は、出席した自治会役員や同区選出の市議らを前に、「違反した事業者には、刑事告発も辞さない姿勢で取り組む」と、決意を語った。

「ヤード」定義 自治体で様々 自動車盗の温床にも

 県内に同様の施設はいくつあるのか? 実はよく分かっていない。「ヤード」と呼ばれる施設の定義が様々なためだ。

 県が把握している「ヤード適正化条例」に基づく県内のヤードは、届け出の要否に関わらず昨年度末時点で802カ所ある。うち県に届け出があるヤードは322カ所で年度ごとに少しずつ増えている。ただ、県が条例で規定するヤードは「(エンジンやプロペラシャフトなどの)特定自動車部品の保管または分離を行う施設のうち、その外周の全部または一部に板塀や柵など、その他これらに類する工作物がある施設」で、千葉市の定義とは異なる。

 一方、警察の定義は「周囲を鉄壁などで囲まれた作業所などで、海外への輸出などを目的として自動車などの保管・解体、コンテナ詰めなどの作業のために使用している施設」だ。県警国際捜査課によると、県警が把握している県内のヤードは昨年末時点で583カ所という。

 同課によると、県内のヤードの約65%が印旛地域(佐倉、四街道、八街、富里、成田、印西、白井の各市、酒々井、栄の両町)にある。同課は「千葉や横浜の港から輸出するのに交通の便が良く、比較的土地が安いからでは」とみる。

 規制がないわけではない。県は2014年に条例を制定、15年に施行して届け出を義務づけた。命令に従わなかった場合などは懲役または罰金が科されるが、これまでに適用されたケースはないという。

 県廃棄物指導課の担当者は「県の条例の対象は特定自動車部品を扱うヤードで、油流出などで周辺環境に悪影響を及ぼしたり、盗難車などの保管場所に利用されたりしている背景から規制しているもので、千葉市の条例とは条例制定の背景や目的が異なるため、おのずと対象範囲も異なる」と説明。今後、千葉市のような対応を取るかどうかには「県内の実態を把握するための調査を実施しており、今後その状況を踏まえて対応を検討していく」と話す。

 一方、ヤードが犯行場所になったり、ヤードの関係者が検挙されたりするケースは相次いでいる。県警によると、昨年末時点でヤードの関係者が検挙されたのは17事件で18人に及び、うち17人は外国籍だった。県によると、届け出があるヤードの運営者は8割以上が外国籍という。

 今年に入っての県内の自動車盗の認知件数(10月末時点、未遂も含む暫定値)は全国ワーストでもあり、県警幹部は「ヤードが盗難車の保管場所になるなど犯罪の温床になる恐れもあり、県とともに合同で立ち入り検査をするなど連携して対応している」と話す。

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コメント: 1
  • #1

    さとる (火曜日, 14 3月 2023 20:41)

    こんな会社、駄目に決まってますよね。酒井社長、喝入れてやって下さい。私も蹴り入れておきますから