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旧統一教会2世の元セクシー女優が語る半生「初体験のとき『地獄行きが確定した』と思った」

 いま親の信仰で生きづらさを感じてきた宗教2世の人たちが続々と声を上げ始めている。両親が旧・統一教会(世界平和統一家庭連合)の家庭で育った元AV女優のももゆりさんもその一人だ。教義と親の愛のはざまで揺れ動いてきた半生を語ってもらった。

 

両親はことあるごとに献金

「抑圧されて育ってきた反動か、大人になって爆発したんです(笑)」 そう明かすのは元AV女優のももゆりさん、’15年から4年間、200本以上のAVに出演してきた。 「合同結婚式で出会った両親の間に生まれ、“神の子”として育てられました。私も二世として清く正しく生きなきゃと信じていました。父は学者で母は看護師、共働きですが家はボロボロで習い事もできませんでした。それでも献金はするし、何度も韓国の集会にも参加しましたね」  小学校2年生のとき、一家で渡米。その後11年間、米国で暮らした。「当時のアメリカと日本では、事情が違うかもしれませんが」と前置きした上で、次のように語る。 「両親はことあるごとに献金をしていましたし、私も小学生の頃から休みの日は、教会の資金集めの為、親に連れられて道端でお花を売ったこともあります。まったく知らない人に声をかけて、お花を売るのも怖かったし、ときに罵声を浴びせられたこともあります」  

「外はサタン!」友達に会えず、学校にも通えず

 

 そしてももゆりさんが中学生のときのこと。 「私には姉がいるのですが、姉は両親から『堕落した友達とは会うな』と言われていました。その様子を目の当たりにし、私もだんだん友達と会うのを禁止されているような気持ちに。結果的に外の世界から誘惑されないように学校を辞めて、ホームスクールになりました」    その日から勉強は自宅で学習をする「ホームスクーリング」に。アメリカではホームスクーリングを合法化しており、その背景には宗教的な理由も多いと言われている。「外はサタン!」と訴える両親によって、平日は自宅で勉強、外出できるのは教会に行くときのみ、という日々が続いた。 「本当に外の世界とは隔離されていました。何度か父親にも『学校に行きたい』と訴えたのですが、『ダメ!』と怒鳴られるだけ。また姉には、当時恋人がいたのですがその人とも別れさせられて……。好きな人を好きになる、そんな当たり前の自由すら奪われた状態は見ていて心が苦しくなりました」

摂食障害で体重は28kgまで激減

 ももゆりさんも次第に追い込まれ、やがてウツと摂食障害に陥ってしまった。 「すべて悪霊のせいという理由で、教団の運営する韓国・清平(統一教会の本部がある)の病院に何度も入院させられました。一時、体重は28kgまで激減して、失神して目覚めたら、体中アザだらけだったことも。悪霊を追い払うために母が私の体を叩いていたんです。  教団の教えに心酔した母の“愛ゆえの行為”と頭で理解しても、悲しくてやりきれませんでしたね。なんでもっと目の前の私と向き合おうとしてくれないのか。神様にお祈りするよりも、私の気持ちを知ってほしかった」  

異性への好奇心が抑えられず「地獄行きが確定した」と思った

 

 子どもの頃から「結婚するまで処女でいなくてはならない」と自由な恋愛や性交渉を禁じる「純潔教育」を受けた彼女も、20歳のとき好奇心が抑えられなくなったという。 「男性ってどんな生き物なのか、愛ってどんなものか知りたくて、出会い系で知り合った男性と初めてセックスしたんです。『結婚するまでセックスしてはいけない』と教えられていた私からしたら、セックスしたら真剣に付き合うんだろうな、って思ってもいました。でもそれも一夜限りの関係で、傷ついたし『もう地獄行きが確定した』と思いました」

AVでは性欲を「当たり前のもの」と肯定できた

 その後、ももゆりさんは実家を出て一人暮らしをするためにも水商売も始め、積極的に男性と関係を持つようになった。 「最初こそ自分を責めましたが、『一度堕落したからにはもう後戻りはできない』『だったらもう好き勝手やろう』って思うようになっていました。ただ小さいころから抑圧された環境で育ったせいか、自尊心が低いんです。必要とされたくて男性に貢いで、気づいたらAVに出てました。献金する親を笑えないですよね。  でもAVは本当に楽しかった。“異性と関わりを持ったらダメ”と育てられたので、見られることに興奮するし、SM系の作品で責められると『悪い子でごめんなさい』と痛みに安らぎを覚えて、解放される自分もいたんです。小さいころからマスターベーションをすることも禁じられていたので、AVでは性欲を『あって当たり前のもの』と肯定できるようになれたんです」

母親に見つかったときの反応は

 

 出演オファーは絶えず、自分の作品を楽しみにしてくれるファンの存在も励みになったという。 「ちょうど引越しをしていたとき、出演作のDVDを入れていた段ボールを手伝いにきた母親に見つかってしまって……いわゆる『親バレ』です。そのとき母親は言葉を失って、なにも言いませんでしたね。悲しそうな顔で『こういうことはやめてほしい』と言われた記憶があります。それはひとりの親として悲しんだのかもしれないし、自分の娘がサタンの手下になった、救ってあげなきゃと思っていたのかもしれない」

「親を憎むのはやめよう」と思った理由

 現在、ももゆりさんはAVを引退、昨年末に結婚した夫と暮らしている。 「夫は非信者で、教団のこともAVのことも知っています。それまでずっと、2世は親の認めた信者と結婚するものだと厳しく言われてきたので、両親が結婚を許してくれたのは驚きでした。母親はいまだに『気が向いたら、いつでも祝福(結婚)を受けてね』とも言ってきますが(苦笑)。  でも最近は親を憎むのは、やめようと思えてきました。私もずっと信じていた教団の教えを信じられなくなったとき、自分の土台が一気に崩れた気がしたから。私自身、AV女優になってからも『教団の教えは本当だったのかな、いや、そんなわけない』と自分の中ですごく葛藤があったんです。  母にとって教団は何十年も信じてきた、いわば人生のすべて。そんな母から信仰の対象を奪ってしまうのは、かわいそうにも思えるんです。今はこの生活を大切にしていきたいと思っています」 【ももゆりさん】 熱心な信者の両親のもとに生まれた2世、米国の帰国子女。2015年にAVデビュー後、200本以上の作品に出演。ハード、フェチ系までこなすM女優として人気を博す。ツイッター@momoyuri_sm 取材・文/週刊SPA!編集部