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古紙在庫17.5%増 2月末関東32社、段ボール荷動き鈍化

段ボール原紙の荷動き低迷で、原料古紙の需要も減っている

製紙原料の古紙在庫が3カ月連続で前年を上回った。指標となる関東製紙原料直納商工組合(関東商組、東京・台東)の2月末在庫(32社分)は、段ボール・新聞・雑誌の3品合計で2万9180トンだった。前年同月末に比べて17.5%多かった。

品種別に見ると、主力の段ボール古紙は41.2%増の1万5659トンだった。段ボール古紙から作る段ボール原紙の輸出が低迷。国内も日用品や食品の相次ぐ値上げによる買い控えが響き、段ボールの荷動きが鈍った。「電気料金の値上げもあり消費者の財布のひもは固く、不要不急品の購入は減っている」(古紙問屋)

日本製紙連合会(東京・中央)によると、1月末の段ボール原紙の在庫量は67万2千トンと月次で過去最高を更新。製紙会社は原紙の生産調整を実施しており、古紙の調達が減った。

雑誌古紙は8.6%増の7501トンだった。雑誌古紙は菓子箱や化粧品箱に使う白板紙の原料となる。インバウンド(訪日外国人)需要は上向いているが、物価高の影響で消費者の購買意欲が落ち、荷動きが低調に推移している。

新聞古紙は11.8%減の6020トン。発行部数の減少やデジタル化への移行の影響で発生が減っている。

古紙在庫12.2%減 9月末、10カ月連続マイナス

製紙原料の古紙在庫が10カ月連続で前年を下回った。指標となる関東製紙原料直納商工組合(関東商組、東京・台東)の9月末在庫(32社分)は、段ボール・新聞・雑誌の3品合計で2万4386トンだった。前年同月末に比べて12.2%少なかった。

主力の段ボール古紙は前年同月末比10.8%減の1万3113トン。出荷量に対する割合を示す在庫率は9.6%で、適正水準とされる15%を大きく下回った。段ボール古紙を原料とする段ボール原紙は内需が堅調。円安を背景に輸出も増えており、段ボール古紙の需要が増えた。

新聞古紙は16.6%減の5640トン、雑誌古紙は10.7%減の5633トンだった。発行部数の減少やデジタル化の進行を受けて発生の減少が続いている。

今後はインバウンド(訪日外国人)客の回復が見込まれ、段ボール原紙に加え、土産物の箱に使う白板紙やホテルなどの家庭紙の需要が増えるとみられている。古紙問屋の担当者は「原料の古紙が少ないことを懸念している。資源になる紙が焼却されてしまうことも多く、しっかり分別をしてほしい」と話す。

段ボール原紙在庫が最高水準 値上げ影響、通販も減速

段ボール箱の材料になる段ボール原紙の在庫が積み上がっている。1月末の在庫は過去最高の67万2000トンに達し、2月末も60万トンを超える高水準だ。2021年から続いた値上げの影響で、調達に一服感が出ている。新型コロナウイルス禍からの経済再開で巣ごもり消費を支えたインターネット通販にもブレーキがかかり、段ボール箱の需要に影がさしている。

段ボール需要が伸び悩み 22年0.1%増、業界予測下回る

物価高が段ボール需要にも影響している

段ボール需要が伸び悩み始めた。全国段ボール工業組合連合会(東京・中央)によると、2022年の段ボール需要は前年比0.1%増の146.5億平方メートル。連合会が21年12月に発表した22年需要予測(前年比1.7%増の148.7億平方メートル)を下回った。食品や日用品の値上げなどで秋以降の荷動きが鈍ったことなどが響いたとの見方がある。

夏ごろまでは前年同月比でプラスの月が多く見られた。新型コロナウイルス感染対策の行動制限が解除され、荷動きは堅調に推移したためだ。通販市場の成長も需要を支える。

一方、10月以降は前年を下回った。日用品や食品などの値上げが相次いだことで「消費者の買い控えが見られ、足元でもそれらの分野に関連する段ボールの出荷が低迷している」(専門商社)。段ボールの材料である段ボール原紙が秋に値上げされたことも秋以降の段ボール出荷を抑えたようだ。

需要の伸び悩みは、原料となる古紙の調達も鈍らせているようだ。指標となる関東製紙原料直納商工組合(関東商組、東京・台東)の段ボール古紙の1月末在庫(32社分)は、前年同月末比36.6%増だった。段ボール原紙の輸出が減少したことも重なり、製紙会社が原紙の生産を調整するため古紙の調達を控えた影響が出た。

印刷用紙などの需要が減少傾向にあるなかで段ボール需要の拡大は製紙業界の支えのひとつとなっており、供給増加を念頭に置く製紙会社も少なくない。伸び悩みは今後の段ボール需給のバランスに影響する可能性もある。