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岡山典弘  三島由紀夫が愛した美女たち (MdN新書)

説明 

内容紹介

女性の物語が解き明かす三島文学の暗喩

三島由紀夫の半生は、魅力的な女性に彩られていた。
周知のとおり三島は、透徹した「眼」をもつ作家である。
少年期から独自の美意識を研ぎ澄まして、絢爛たる〝三島美学〞を構築した。
その「眼」は、文学に向けられ、演劇に向けられ、映画に向けられ、美術に向けられ、そして女性に向けられた。
生前の三島は、日輪のような眩い光芒を発した。
その光りを浴びた美女たちは、月のごとく清らかであった。

――三島は、実生活でどのような女性に惹かれて、相手に何を求めたのか?
彼女たちは、三島から何を学びとり、どのようにして〝大輪の花〟を咲かせたのか? 

映画『からっ風野郎』で三島の恋人役を演じた若尾文子。
この世のものとは思えない天上界の麗人・美輪明宏。
三島が丹精込めて育て上げた新劇女優の村松英子。
三島との結婚が噂されたシャンソンの女王・越路吹雪。

――また、三島と親しかった令嬢や貴婦人は、小説のモデルとしてどのように描かれたのか? 

フランス大使の令嬢『仮面の告白』の三谷邦子。
赤坂の高級料亭の箱入り娘『沈める滝』の豊田貞子。
羽林家の流れをくむ『幸福号出帆』の東久世壽々子。
典雅なサロンの主宰者『鏡子の家』の湯浅あつ子。
加賀百万石のお姫様『豊饒の海』の酒井美意子。
悲劇の宮家の妃『豊饒の海』の北白川祥子。

三島とこれら美女10人との人生の軌跡が交差するさまを描く。

〈本書の内容〉
第一章 最も愛した映画女優  若尾文子
第二章 天上界の麗人     美輪明宏
第三章 手塩にかけた新劇女優 村松英子
第四章 シャンソンの女王   越路吹雪
第五章 三島文学のモデルとなった佳人
第一節 フランス大使の令嬢  三谷邦子
第二節 高級料亭の令嬢    豊田貞子
第三節 京の公家の血筋    東久世壽々子
第四節 サロンの主宰者    湯浅あつ子
第五節 加賀百万石のお姫様  酒井美意子
第六節 宮家のお妃様     北白川祥子

著者について

岡山 典弘 (おかやま のりひろ)
作家・文芸評論家。愛媛県松山市生まれ。松山大学卒業。自治大学校卒業。愛媛県庁勤務後、2016年4月から、松山大学非常勤講師として日本文学を講ずる。伊予銀行の審議役を経て、現在、いよぎん地域経済研究センター(IRC)主席研究員。柔道三段。主な著書に、『青いスクウェア』(日本文学館)、『三島由紀夫外伝』(彩流社)、『三島由紀夫の源流』(新典社)、『筬島一治評伝』(仙味エキス/IRC)、『曽我源太郎・光四郎評伝』(愛媛ダイハツ販売/IRC)、『五〇人の作家たち 日本文学って、おもしろい!』(新典社)がある

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コメント: 1
  • #1

    名無し (火曜日, 28 3月 2023 22:22)

    2016年に啓文社書房から出版された本を大幅に加筆、修正し新書化したもの、とのことである。
    はじめに、には、「同書に美女たちの写真やプロフィルを加えて」と書かれているが、美女たちの写真といっても、カバーの写真のほかには、若尾文子さま、美輪明宏、村松英子、越路吹雪の章のはじめに小さな写真が載っているだけである。5番目から10番目までの令嬢・貴婦人たちの写真は一切掲載されていない。
    また、帯だけ見ると、10人の女性(美輪含む)が大体同じ分量で描かれているように思ってしまう(私はそう思って注文してしまった)ので、この点は要注意である。分量は若尾文子様約50頁、美輪明宏約50頁、村松英子約50頁、越路吹雪約50頁で、6人の令嬢・貴婦人たちはまとめて約50頁である。
    感想
    第一章は若尾文子さまファンとしては、あまり楽しくない内容であった。
    第二章は三島由紀夫と美輪明宏の関係がちょっとわかりにくい。
    第三章は手塩にかけた新劇女優村松英子と三島の関係がよくわかり、楽しい。カバーの後面の二人の水着写真も楽しい。
    第四章は大スターにして、恋多き女越路吹雪の半生が鮮やかに描かれていて、本書の中で一番面白かった。著者が推測する、三島が越路と結婚しなかった3つの理由も面白い。ただし、どちらかというと、越路の片思いであったように思えなくもない。
    第五章は6人の令嬢・貴婦人たちの章。一番期待の大きかった部分で、それなりに面白かったが、なにぶん1人約9頁なので、物足りなさが残ってしまう。情感の深いのは、第一節三谷邦子、第二節豊田貞子の令嬢二人で、二倍ぐらいの量で読みたかった。
    つけたしのようで申し訳ないが、労作であるとは思う。