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明治22年創業の洋食店が135年の歴史に幕…老舗が消える背景に「味の継承」の難しさ

店  名 : 桃乳舎(とうにゅうしゃ)

住  所 : 東京都中央区日本橋小網町13-13

営業時間 : 11:00~16:30

定  休  日 : 土曜・日曜・祝日

 昼時になると、周辺のサラリーマンらが列をなす老舗洋食店。東京・日本橋小網町にある【桃乳舎】が突然閉店したのが、今年2月のこと。 2度目の東京五輪を迎えた洋食店 母から息子へと受け継がれた57年間の足跡(世田谷・野沢) 《臨時休業からの閉店となり、お客さまに直接ご挨拶と感謝を伝える事が出来ず、又大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。これまで当店をご愛顧いただき誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。店主》  通い始めて20年あまりという50代会社員の男性はこう話す。 「臨時休業していましたが、そのまま閉店を伝える貼り紙がされたのが2月のことでした」  東証からも近く、証券街の兜町と商品先物街の蛎殻町のちょうど中間にある同店は、牛乳や軽食を提供するミルクホールとして1898年(明治22年)に創業。その後、時代を経て喫茶店、洋食店と姿を変えていったという。   「老夫婦とご家族で切り盛りされている店内は正午前後は常に満席でしたが、15時まで営業していたので遅めのランチを食べに良く通っていました。原材料が高騰する中、値上げもせずに続けていたので心配していた矢先のことでした。突然の閉店に故郷を失ったかのような喪失感に襲われています」(前出・50代会社員の男性)    昭和8年築の趣ある建物は建築フリークの間でも知られているというが、同店の名物はなんといっても、ひとつひとつ手作りされた洋食の味だ。   「揚げたてのメンチカツやアジフライなどにキャベツの千切り、スパゲッティーが乗った日替わりランチは500円ほど。ライス抜きにして大きめの丸皿でランチを注文する人もたくさんいました。丁寧に作られたハンバーグやカレーライスも人気で、周辺にはほかにも老舗の洋食店がありますが、群を抜く存在でした」(前出・50代会社員の男性)    カツカレー570円、ハンバーグライス520円、オムレツライス520円、エビフライライス730円……と今どき信じられないほどの安さ。お財布にも優しい同店には遠方からも客が訪れていたという。

SNSでは閉店を惜しむ数多くの声が見られるが、直接感謝を伝えにきた人によるメッセージが同店の入口ドアにいくつか貼り付けられている。    現在、全国でこうした老舗が廃業の危機を迎えているという。  2019年6月に惜しまれながら店を閉じたのが、尾道ラーメンの名店「朱華園」(広島県尾道市)。2020年11月に創業者の家族が味を受け継ぎ、場所と店名を新たに再出発したことで閉店を惜しんだファンからは安堵の声が聞かれた。  とはいえ、このように跡継ぎが現れるケースは珍しいとのこと。   「インフレや円安による食材価格の高騰で利益が出ていない場合、廃業は仕方がない面もありますが、跡継ぎがいないため、黒字にもかかわらず閉店するケースも少なくありません」(マーケティングアナリストの渡辺広明氏)  その理由の一つが、味の継承だ。 「私が通っている浜松餃子の名店で、70代の大将に『誰かに味を伝承してほしい』と伝えたところ、『餃子をなめるな、そんな簡単なことではない』と叱られたことがありました。繁盛店でも、味の継承が難しいことを理由に店を閉じるパターンが多いように感じています。そこそこおいしいものを安価に提供するチェーン店もありがたいですが、このままでは街中に味のある店が少なくなるのは寂しい限りです」(渡辺広明氏)  日本から老舗の味が消えゆこうとしている。

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コメント: 10
  • #1

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:27)

    よく老舗の出汁等の味が継ぎ足しで形成されているとも聞く。
    業種は違うが、福岡の老舗旅館「大丸別荘」が半年間はお湯の継ぎ足しですませていたとも聞くが、
    調理人の継承もあるし肥えた客の舌を唸らせるのは中々難しいと思う。

  • #2

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:28)

    東京生まれ育ちなんですが、特に東京は個人経営の店は一代限りになりやすいように思う。家族経営の店なんて、いつの間にかほぼ絶滅だなと。京都によく行くんですが、あちらは家族経営多いんですよね。だんだん少なくなるのかな。東京で美味しかった思い出の店は、みんな一代で閉めちゃいました。知ってる人いるかなと時々思い出すけど。

  • #3

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:29)

    お気に入りの個人店が閉店してしまって、2度と同じ味に出会えないことを何度か経験したが、今でもその前を通ると昔を思い出してしまう。
    繁盛店が消えることほど寂しいものはない。

  • #4

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:30)

    結局は、昔からの意味のわからない目で盗めって考えは、ただ教える能力がないだけ。
    家族経営で企業の目的である、地域に貢献して継続するってビジョンが無い。金儲けは継続する手段であって目的ではないからね

  • #5

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:30)

    こういう店はまず店主の心意気と家族経営で家族の賃金発生しないのと持ち家か大昔の借家借地契約で不動産に金がかから無いから成り立ってる。
    閉めて欲しくなければ、常連達も店主や女将に値上げ促したり、とか何かやれる事やってないわりにマスコミも含め閉店すると残念残念と騒ぎたてる。

  • #6

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:31)

    悲しいけどそれが現実。
    味の継承が簡単に出来ちゃったら全国チェーン店と一緒て事だよね。
    近所に戦後すぐに出来たレストランがあるがシェフが代わる度に味が落ちたという愚痴を耳にするけど何だかんだいって80年近く続いてる。

  • #7

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:32)

    もう20年くらい前に通ってたー
    家族経営の飲食店は厳しいよね。
    老舗洋食は高級化することで生きのびているけど、そうじゃないホッとできるお店だった。
    残念です

  • #8

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:34)

    私が通っている浜松餃子の名店で、70代の大将に『誰かに味を伝承してほしい』と伝えたところ、『餃子をなめるな、そんな簡単なことではない』と叱られたことがありました。
    ☞料理は奥が深いということですね。

  • #9

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:36)

    Youは何しに日本へで日本の伝統文化を守るため自費で映画を作っているアメリカ人が、後継しなければ100年1000年間の歴史も失われてしまう、と言っていたのを思い出した。

  • #10

    名無し (土曜日, 25 3月 2023 11:39)

    気持ちはわかるけど飲食店の料理に限らず、伝統工芸品の後継者が育たないいないのって「なめるな!」って言っちゃうところにあると思うよ
    時代だとか関係なく伝える気教える気なんてないでしょ
    プライドがあるのはいいよ。ただやりたいとか誰かに継いでもらってほしいって意見をバカにしたような態度取られたら気分悪いだろうね
    で、やる気もなくなる。なるべくしてなった結果じゃないの?継いだところで今度は客がケチ付けてバカにするじゃん
    何様だよお前レベルで勘違いしてる客、一定数いるからね

    記事の洋食店はただ高齢+色々と高騰でプラスの内に閉めて各仕入先とかの整理して清算しただけでしょう