· 

文春新書 徳川家康 弱者の戦略 磯田道史

徳川幕府が二百六十年隠してきた真実を暴く! 信長、信玄、そして秀吉。圧倒的な強者を相手にしてきた家康はつねに「弱者」だった。それがなぜ天下人となったのか? そこには弱者だから取り得た戦略、ライバルからの旺盛な「学び」があった。第一人者が家康の実像に迫る。
磯田道史
1970年、岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。茨城大学准教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2016年、国際日本文化研究センター准教授、21年より同教授。18年、伊丹十三賞受賞。著書『武士の家計簿』(新潮新書、新潮ドキュメント賞受賞)、『天災から日本史を読みなお
 
家康が残した「名言」

幼い頃から人質生活が長く、苦労を強いられて育った家康らしく、忍耐に関する言葉が多いのが特徴。
若い頃は激情型の人物として知られていた家康だが、自らの体験から多くを学び、“狡猾”とも言われるほどの慎重さ、冷静な分析力を身につけていったのだろう。

最後には天下統一を成し遂げた家康だが、その道のりは長く失敗も多数あったが、
「勝つ事ばかり知りて負ける事を知らざれば其の害身に至る」という。
失敗を恐れがちな人間にとって心を揺さぶられる言葉だ。
また、人の上にたちながらも決して慢心せず、いさめてくれる家臣達からも多くを学び、強い結束力を固めていった。

信長や秀吉でさえかなわなかった夢、天下統一を現実のものにしたのも、徳川家臣団の結束力と自らの信念をもとに定めた数々の法律や掟にあるのかもしれない。

4世紀も前のこれらの名言の数々には、物事の本質を見る力が感じられ、今の世の中に忘れられがちな真理が数多く、なるほどと唸らずにはいられない。
家康のように人の上に立つものだけではなく、人としての心得として知っておいて損はない。
 
【徳川家康が残した名言集】

「己を責めても人を責めるな。」

「心に望み起こらば、困窮したるときを思い出すべし。」

「人間はの、最も多くの人間を喜ばせたものが最も大きく栄えるものじゃ」

「怒ったときには、百雷の落ちるように怒れ。」

「大事を成し遂げようとするには本筋以外のことはすべて荒立てず、なるべく穏便にすますようにせよ。」

「戦いでは強い者が勝つ。辛抱の強い者が。」

「人生に大切なことは、五文字で言えば上を見るな。七文字の方は身のほどを知れ。」

「多勢は勢ひをたのみ、少数は一つの心に働く。」

「いさめてくれる部下は、一番槍をする勇士より値打ちがある。」

「人は負けることを知りて、人より勝れり。」

「道理に於(おい)て勝たせたいと思う方に勝たすがよし。」

「決断は、実のところそんなに難しいことではない。難しいのはその前の熟慮である。」

「いくら考えても、どうにもならぬときは、四つ辻へ立って、杖の倒れたほうへ歩む。」

「滅びる原因は自らの内にある」

「得意絶頂の時ほど隙が出来る。」

「つことばかり知りて、負ける事を知らざれば其の害身に至る。」

「堪忍は無事長久の基。怒りは敵と思え。」


「及ばざるは過ぎたるより勝れり。」

「重荷が人をつくるのじゃぞ。身軽足軽では人は出来ぬ。」

「人間は、健康でありすぎたり、得意すぎたりする時にも警戒を要するのだが、疲れたおりの消極性もまた厳に戒めなければならない」

「早まって相手の肚」

どうする家康:忍者ではないが、忍者の代表!? 山田孝之が「人付き合いが苦手」な服部半蔵に

2023年大河ドラマ「どうする家康」で服部半蔵を演じる山田孝之さん (C)NHK

 松本潤さん主演の2023年NHK大河ドラマどうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)第5回「瀬名奪還作戦」が2月5日に放送される。同回から、俳優の山田孝之さんが服部半蔵役で登場する。

 服部半蔵は先祖が忍びの郷(さと)・伊賀出身のため、忍者とよく間違えられる。本人は武士と思っているが、自分にプライドが持てず、人付き合いが苦手。命じられて伊賀忍者を使い、諜報活動をするが時々失敗する。

 キャッチコピーは「忍者ではないが、忍者の代表」だ。

 「どうする家康」は一人の弱き少年が、乱世を終わらせた奇跡と希望の物語で、「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」(共にフジテレビ系)シリーズなどの古沢良太さんが脚本を担当。新たな視点で、誰もが知る歴史上の人物・徳川家康の生涯を描く、スピード感あふれる波瀾(はらん)万丈のエンターテインメント作となる。