【王子HD、国内最大級の段ボール工場 ネット通販で需要】

製紙国内首位の王子ホールディングスは、インターネット通販による段ボール需要の増加を受け、千葉県に大規模工場を建設する方針を固めた。投資額は約100億円。段ボール箱の工場として国内最大規模まで拡張を見込む。またカンボジアでも約30億円を投じて新工場を設ける方針で、世界的に好調な段ボール分野で攻勢に出る。

千葉県船橋市の湾岸部で倉庫などがある土地に建屋をつくり、2020年の稼働を見込む。当初の生産能力は年間1億2千万平方メートル程度のもよう。中長期的にさらに設備を増強し、能力を2億4千万平方メートル程度まで増やすことを想定している。国内での段ボール工場の新設は珍しい。

船で原料を運びやすく、需要が旺盛な首都圏に近い立地を選んだ。グループ内でつくる原紙を使い、箱を切って張り合わせる加工設備を置く。

カンボジアでも3カ所目の段ボール箱の工場を設ける。月間生産能力は400万平方メートル程度で、稼働は20年ごろの見通しだ。東南アジアでは経済成長で家電製品や食品などの輸送需要が増加しており、王子はベトナムやマレーシアでも生産能力を拡大している。

王子は段ボール事業ではレンゴーと並ぶ国内2強で、18年3月期の段ボールの売上高(板紙を除く)は約2500億円。生産量は世界全体で約39億平方メートルで、そのうち日本市場が7割強、残りは東南アジアやオセアニア。印刷・情報用紙はデジタル化で需要が減っており、段ボールなど成長事業へのシフトを急いでいる。

みずほ銀行産業調査部などによると、段ボールの原料となる板紙(白板紙など含む)の世界需要は22年に、16年比で17%増える見通し。ネット通販の普及や新興国の経済成長などから段ボール需要は急拡大している。

日経電子版より転載。


『「脱・紙」の日本製紙、経営に不安広まる…アマゾン効果で活況の製紙業界で一人負け』

最近、日本株のアナリストと話をすると、日本製紙株式会社の先行きに不透明感があるとの見方をよく耳にする。その背景には、王子製紙などの業績が拡大しているのに対し、日本製紙の洋紙事業が低迷していることがある。

 アナリストの話を要約すると、これまで日本製紙は環境の変化にうまく対応できていないという見方が多いようだ。その一つが、ペーパーレス化がある。会議などで使う情報やグラフなどを紙に印刷して配布するのではなく、プロジェクターに投影したり、タブレット型のPCに資料を保存して閲覧することが増えてきた。新聞や雑誌の購読に関しても、「紙はかさばる」という理由からデジタル版のみを契約する人も多い。その一方、インターネット通販の普及から宅配用の段ボール需要は高まっている。王子製紙などはM&A(合併・買収)を駆使しつつ需要をうまく取り込んでいる。

そうした状況下、日本製紙は従来の製紙事業とは異なる製品開発を進めているという。同社は、紙に関する技術を活かして新しい製品を開発し、それを今後の成長の源泉にしていこうとしている。プラスチック製ストローの使用が減少していることは、日本製紙にとって大きなチャンスとなるだろう。同社がどのようにしてプラスチック製品の代替としての紙需要を取り込むことができるか興味深い。

段ボールブームに乗りきれていない日本製紙


 現在、わが国の製紙業界は久方ぶりの好況を謳歌している。特に、段ボールに限ってみると空前のブームが到来しているといってもよい。その背景には、アマゾンなどのインターネット通販の普及に支えられて宅配用段ボール箱のための板紙需要が高まっていることがある。街行く貨物車両の荷台や物流センターには、荷物を納めた段ボールが高く積み上げられている。目下のところ、段ボール需要をいかに取り込むかが、わが国の製紙企業が国内で収益を獲得する重要なポイントだ。

 王子ホールディングス株式会社(王子製紙)に次いで売上高国内第2位の日本製紙は、このブームに乗り切れていない。2019年3月期の第1四半期決算を見ると、バイオマス発電などが収益を確保したものの、工場の減損が響き、最終損益は赤字だった。

 日本製紙の事業領域は、紙・板紙、生活関連、エネルギー、木材・建材などの5分野から成る。うち、紙・板紙事業は売上高の70%を占める。同社の洋紙と板紙の販売量を国内と海外に分けてみると、洋紙の国内販売数量は前年同期比でマイナスだった。洋紙輸出の販売数量は増加したが、国内での落ち込みを補うことはできていない。段ボールをはじめとする板紙事業を見ると、前年同期比ほぼ横ばいだった。一方、バイオマス発電などのエネルギー事業は売り上げの3%程度にすぎない。本業である紙・板紙事業の営業利益はいまだ赤字から脱していない。収益改善が喫緊の課題であることは明らかだ。

国内の大手製紙企業の業績が好調であることを踏まえると、日本製紙への懸念が高まることは無理もない。2018年4~6月期、各社の当期純利益を前年同期比でみると王子製紙は3.1倍、レンゴーは約1.9倍、大王製紙は約2.2倍増加した。いずれも、中国をはじめとするアジア新興国での紙おむつ事業やパルプ事業の成長、段ボール事業の増収などが寄与した。

日本製紙の収益の伸びを阻む要因

 
 日本製紙の収益低迷の要因は、大きく2つに分けられるだろう。

 まず、同社の紙・板紙の販売数量の3分の2程度を洋紙が占めていることは大きい。日本製紙の収益改善が思うように進まないのは、洋紙需要の落ち込みによるところが大きい。端的にいえば、同社が想定していた以上に洋紙需要の落ち込みのスピードが速いということだろう。

 洋紙需要の拡大が見込めないということは、日本製紙の売上高=トップラインの伸びが期待できないことと言い換えてよい。同社は生産能力の削減を進めている。それでも、需要の落ち込みが速いため、コストを削減しても思ったように収益性を改善させることができていないと考えられる。

 また、競合相手の戦略からの影響も大きい。国内外で王子製紙やレンゴーが積極的にM&Aを仕掛けている。端的にいえば、日本製紙が紙の生産能力を削減しているのに対して、ライバル企業は買収によって紙の生産能力を増強してきた。

 それは、規模の経済効果が働きやすい経営態勢を整えることといえる。一例をあげると、2016年にレンゴーは自動車部品などの重量物用段ボールの世界最大手を買収し、国内でも中堅製紙メーカーを買収してきた。2018年2月に王子製紙は国内第6位の三菱製紙に33%出資した。そうした攻めの姿勢が国内製紙業界の再編につながっている。

 日本製紙と王子製紙、レンゴーの戦略は実に対照的だ。日本製紙は洋紙需要の低迷への打開策として生産能力を削減せざるを得なかった。一方、王子製紙、レンゴーは買収戦略を中心にして生産能力を増強した。それは、段ボールの需給がひっ迫するなかで両社の価格交渉力の向上に貢献し、売上高が増加する一因になったと考えられる。

 ただし、規模の経済効果を重視した経営戦略が今後も企業の成長を支えるとは限らない。労働コストの観点からいえば、中国やアジア新興国の企業に比較優位性があるからだ。

そう考えると、わが国の製紙企業にとって重要なことは、新しい製品の開発だ。見方を変えて日本製紙の経営を考えると、同社は既存事業の成長に限界を感じ、“脱・紙”の取り組みに注力してきたといえる。

 脱・紙とは、洋紙、板紙とは異なる製品から収益を得る考えを指す。それは、紙・板紙事業ではなく、生活関連事業(液体用の紙容器などの生産)を成長分野にしようとする構造改革と言い換えられる。段ボール需要のひっ迫を考えると、日本製紙はかなり思い切って改革を進めようとしている。

 2016年、日本製紙がウェアーハウザー社(米国)から紙容器の原紙事業を買収したのはその考えの表れだ。加えて同社は、将来的に自動車の内外装など幅広い分野での利用が期待されているセルロースナノファイバーの量産に向けた設備投資も行ってきた。

 2018年7月、日本製紙に追い風が吹き始めた。世界のコーヒーチェーン大手、スターバックスが2020年までにプラスチック製のストローの使用をやめると発表したのである。ウォルト・ディズニー・カンパニーも同様だ。理由は、ストローを廃棄する際に出る微細なプラスチックのごみが環境汚染につながるからだ。

 その「マグニチュード」は大きい。来年から米カリフォルニア州は、原則としてレストランがプラスチック製ストローを客に提供することを禁じた。わが国でも、ファミリーレストランのデニーズ等がプラスチック製ストローの提供を中止した。

 スターバックスなどの発表を境に、紙製ストローの使用が増えつつある。これは、日本製紙が待ち望んでいた環境の変化といえる。同社の紙製ストローは飲み物の風味を損なわないなど、プラスチック製ストローを代替する機能を備えている。世界的にみてもその技術は他に先行している。

 今後、日本製紙には紙製ストローのコストを削減し、機能面でも価格面でも競争力のある製品の創造を目指してもらいたい。同社がストロー以外にも新しい製品の開発を進めることができれば、経営への不安も徐々に解消されていくだろう。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

【製紙で一人勝ちの王子HD 海外開拓で追う世界大手】

印刷物のデジタル化にあえぐ製紙業界で、国内首位の王子ホールディングス(HD)の1人勝ちが鮮明だ。ネット通販需要に沸く段ボールや、家庭用紙など成長分野にシフトしながら「内需銘柄」の殻を破って海外を開拓。2019年3月期に業界初の連結営業利益1000億円を見込み、海外が6割を占める。手にした利益を生かし、業界再編や国内の成長投資でも口火を切る。

ブラジル南東部。広大な森林に紙の原料となるパルプの巨大工場がそびえる。王子の子会社が運営するセニブラ社だ。4月、4本の巨大なタワーが新たに稼働。「ラインの増設を除くと40年ぶりの大規模更新です」。担当する山口聡康部長は笑顔を見せる。

このタワーはパルプを薬品で白くする作業で使う。「最新型にしたことで、薬品使用量と電気代が1割ずつ減り、競争力が高まった」(山口氏)

一方、東南アジアのマレーシア。「キーン、キーン」。金属音が鳴り響くなか、巨大な機械に茶色い紙が吸い込まれ、裁断されている。

■アジアで伸ばす

王子がマレーシアなど東南アジアに持つ段ボール工場が慌ただしい。段ボールは食品や家電製品を運ぶ需要が急拡大。王子全体だと23年3月期に生産・販売量を48億平方メートルと、18年3月期比で2割強増やす計画だ。

成長エンジンはアジア。9月28日にはカンボジアの工場増設も発表し、18年末~21年にアジアで6工場の新・増設が完了する。「進出していないインドネシアやフィリピンも検討する」(統括本部長の長谷部明夫氏)。段ボール以外も含め王子の海外連結子会社は100社に迫った。

セニブラとカンボジアの生産増強の投資額は90億円にのぼるが、王子にとってこの金額は痛くもかゆくもない。なぜなら今、パルプや段ボールは王子の大黒柱として大いに稼いでいるからだ。

王子の稼ぎ頭は3つ。計画中の営業利益1000億円のうち、パルプなど「資源環境」が523億円、段ボールなど「生活産業資材」が250億円、感熱紙など「機能材」が201億円だ。

市場は海外にシフトする。直近の営業利益のピーク時(05年3月期、846億円)、海外売上高比率は8%程度だったが、19年3月期計画では約32%に伸びる見通し。営業利益だと実に62%を見込む。王子は脱・内需依存へ競争の土俵を変えることにメドをつけた。

「最高益はぜひとも達成してほしい」。5月に開いた決算説明会。日ごろは厳しいベテランアナリストがこう激励すると、矢嶋進社長はいっそう自信を深めた。

実は利益1000億円は、2000年に発表した目標値(当時は経常利益ベース)。5代の社長がバトンをつないだ夢の実現がようやく見えてきたという重みがある。

競合のレンゴー日本製紙大王製紙北越コーポレーションは100億~300億円台で団子状態。王子躍進の背景に、時代を先読みして取り組んだ構造改革がある。

「コンピューターの普及により紙需要は2005年から減っていく」。1995年ごろ、王子幹部らの会議で1本の調査資料が発表された。95年には米マイクロソフトが「ウィンドウズ95」を発売。デジタル化の時代が忍び寄っていた。紙の需要はまだ好調だったが、01~06年に社長を務めた鈴木正一郎氏は社内外でこう説いて回った。「印刷・情報用紙の生産能力を拡張してはだめだ」

競合各社の印刷用紙での投資攻勢を横目に、王子は20年以上をかけ、黙々とパルプや段ボールなどの成長事業の買収を重ねた。日本各社とブラジルの合弁事業だったセニブラも好例。同国が日本側に株売却を提示した際、王子だけが好機と判断し、段階的に計300億円近くを投じて連結子会社化した。パルプの重要性を見誤った日本製紙などは果実を逃した。

「紙でも稼げる分野は確実にある」。王子幹部は力を込める。紙の役割は(1)印刷用紙など情報を「伝える」(2)ティッシュなどの「拭く」(3)段ボールなど「包む」――の3つ。「伝える機能はデジタル化で確実に需要が減るが、拭く・包む機能は代替できる素材がない」(王子幹部)。パルプの需要も増えるとみる。

■利益率は大差

海外にこぎ出した王子が成長の果実をつかむ道は平たんではなかった。裏返すと、海外シフトを進めるなか同様のリスクが立ちはだかる。

中国・江蘇省。王子が15年に一貫生産を始め、18年3月期の営業利益で106億円を稼ぎ出した紙パルプ・印刷用紙メーカー「江蘇王子製紙」もそのひとつ。計画の発表は03年だが、地元住民の反対運動などで次から次へと難題が浮上。フル稼動まで10年以上を要した。投資額は工場の規模に比べて莫大な約2000億円に膨れあがった。

さらに、海外のライバルは王子の先を行く。生産量で世界最大手の米インターナショナル・ペーパー(IP)は印刷・情報用紙の生産能力を約10年前に比べて半減させた一方、段ボール関連は約2倍に拡大。売上高営業利益率で、IPや2位の中国・ナインドラゴンズなど世界大手は8~15%程度。王子の今期計画(6.5%)を上回る。

王子が00年代前半にぶち上げた目標が「本籍日本のアジア企業」。すでにその地位を築きつつあるが、生産量でみると世界4位にとどまる。好業績を謳歌している余裕はない。経営改革でさらなる高みに挑む時だ。

(国際アジア部 渡辺伸)

[日経産業新聞 10月5日付]

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コメント: 6
  • #1

    イサム (日曜日, 30 9月 2018 15:20)

    王子さん、やっぱスゲえ!

  • #2

    通りすがりの名無し (金曜日, 05 10月 2018 08:31)

    王子製紙の、ひとり勝ちなんですねー
    日本製紙は王子製紙に吸収されたら
    いいんちゃうの?

  • #3

    通りすがりの名無し (日曜日, 07 10月 2018 14:59)

    くりびつてんぎょう!

  • #4

    軽トラ野郎 (月曜日, 08 10月 2018 14:31)

    すみません。今、1番すんばらしい
    紙問屋さんは、どこですか?
    鉄屑屋さんは、どこですか?
    廃棄プラ屋さんは、どこですか?
    産廃屋さんは、どこですか?

  • #5

    通りすがりの名無し (火曜日, 09 10月 2018 10:20)

    すんばらしい 業者なんか何処にも有りません。探しても無駄です。大海からコイン一枚を探すより難しいです。

  • #6

    通りすがりの名無し (金曜日, 02 11月 2018 18:46)

    すんばらしい産廃屋は俺様だぁー。
    パッカー車10台に新車を入れたぞ。