商品を載せるパレットを共同開発する。現在は工場で商品をトラックに積む時と小売店などの倉庫に卸す時、手作業で運んでいる。4社はそれぞれの工場で、共通化したパレットに商品を積む運搬ロボットを新設したり刷新したりする。各社の投資額は数億~10億円強の見通しだ。
王子などが自前でパレットを回収すると手間がかかる。物流支援会社のユーピーアール(東京・千代田)に一括して小売店から回収するよう委託する。
ユーピーアールに4社のパレットをまとめて回収してもらうため、パレットの管理システムを共有する。王子などが、出荷先や量を入力し、ユーピーアールが回収先を把握する。
各社は当面、別々のトラックを使う。ライバル同士が商品を混載することなども検討していく。
物流提携の動きは食品業界が先行する。味の素やハウス食品グループ本社など国内食品大手5社は、来年4月に共同配送の新会社を発足する。北海道で共同配送に取り組む企業や、味の素の物流子会社などを統合させ、共同物流などの取り組みを全国に広げる。
新会社では取り扱い貨物が少なく配送距離の長いエリアを中心に、共同配送に取り組む。北海道での共同配送では、トラックの大型化や効率的な積載により、配送に使うトラックの台数を18%ほど減らせた。新会社では各社で異なっていた配送伝票も統一して、荷物を受け取る納品先の手間も省く考えだ。
アサヒビールなどビール4社は北海道での製品の共同輸送を17年秋から始めていたが、18年4月に対象地域を広げた。関西、中国と九州を結ぶ区間で共同輸送を始めた。
トラック運転手不足は深刻だ。米ボストン・コンサルティング・グループによると、国内のトラック運転手は17年時点で83万人。高齢化で27年に72万人まで13%減る見通し。一方で、トラック運転手の需要は27年に96万人と16%増える。
国の政策もより厳しくなっている。国土交通省は17年11月、トラック運送の運賃・料金のルールを変更。通常の運転時間と、荷物の積み下ろしや待機時間を区別して料金を支払うよう、荷主側に求めた。このため積み下ろしで追加料金を徴収するトラック会社が増えている。
【日本製紙、壁紙用原紙値上げ 7月から15%以上】
同社が価格引き上げを打ち出したのは2015年春以来約3年ぶり。代理店を介して今後壁紙メーカーなど需要家との交渉に入る。パルプ価格は中国勢の旺盛な需要や投機資金の流入で、17年の1年間で4割ほど上がった。
壁紙用原紙は住宅・オフィス・ホテルなどの壁紙の裏面に貼り付ける。同社によると、17年度は下半期にかけ出荷は好調。リフォーム需要に加え20年の東京五輪・パラリンピックに向けホテルなどの建設が本格化している。「1部屋あたりの面積が小さいホテルが増え、原紙の使用量が多くなっている」(情報・産業用紙営業本部)という。
【古紙の対中輸出 新たな難題 コンテナ車不足で運べず】
中国向け輸出を見送ってきた関東商組は6月積みの見積もりを募ったが、応じた商社が少なく、輸出の見送りを決めた。運転手不足に悩むコンテナ輸送会社が運賃を引き上げるなどして、商社が車を手配できなかったことが主な理由だ。
日本からの古紙輸出量をみると通常は関東が全体の6~7割ほどを占めるが、4月は5割以下にとどまった。物流問題の影響が首都圏ほど深刻な状況がうかがえる。
中国での古紙の引き合いは強まっている。電子商取引市場の伸長や世界景気拡大を受け、同国では段ボール生産が拡大。原料となる段ボール古紙の現地価格は1キロ50円以上と日本国内の流通価格の約3倍に上昇した。
中国による米国からの輸入制限は緩和され、禁輸は事実上解除された。日本品の価格上昇は一服する可能性もあるが、品質に定評のある日本の古紙の需要は今後回復するとの見方がある。
関東商組の大久保信隆理事長は「コンテナ車を確保できれば7月積みで輸出を再開したい」と語る。ゴールデンウイーク中の製紙会社の生産減などで国内の古紙在庫が増加。関東商組の5月の段ボール古紙在庫は前年同月比84%増えた。流通価格も弱含んでいるだけに、対中輸出に対する流通各社の期待は強い。
製紙会社は今後、段ボール原紙などの生産増に向けて設備稼働率を高め、古紙需要は伸びる可能性がある。再び高まりつつある中国の需要を取り込めるか。環境規制への対応に加え、物流対策も課題となる。
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