【「もはや煎餅屋」それでも銚子電鉄を走らせたい…ふるさと納税、応援の輪は広がるか】千葉県立銚子商業高で商業科を教える石毛宏幸教諭(58)頑張って下さい。応援してます。

売上の7割が「ぬれ煎餅」、「慢性的な資金不足で電車なのに自転車操業」、「いつ廃線になっても」ーー。ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」の千葉県銚子市のページ(https://www.satofull.jp/static/projects/city-choshi-chiba/01.php)には、自虐とも取れる言葉が並び、銚子電鉄に使うふるさと納税の募集がされている。

銚子電鉄は、千葉県銚子市内を走る全長6.4キロの小さな鉄道会社。経営難が続くため、車両の検査にあてる費用をふるさと納税のクラウドファンディングで集めることにした。5月16日から8月31日までに1000万円を集めるのが目標だが、直近の寄付合計は67万5000円(6月13日時点)にとどまり、目標達成に暗雲が立ち込める。

●「支援の輪が広がってほしい」

ただ、銚子電鉄を応援する地元関係者は、今後の伸びをまだまだ諦めていない。そのうちのひとりが、千葉県立銚子商業高で商業科を教える石毛宏幸教諭(58)だ。

銚子商業高では、授業で地元を応援する「銚商夢市馬プロジェクト」を生徒とともに取り組んでいる。銚子電鉄の車両整備費などにあてるためのクラウドファンディングは、生徒の発案をきっかけに2014年に始めた。

今回のクラウドファンディングはふるさと納税の枠組みを使ったもので生徒が関わるものとは異なるが、石毛教諭は「何とか多くの方の心を打って、支援の輪が広がってほしい」と願っている。

観光ボランティアを16年続ける坂野せいさん(70)も銚子電鉄への愛着が強い。多い時で週3回、電車の中で観光客に案内をしている。もともと百貨店の婦人服売り場で働いていた経験から、知らない人に話しかけるのは得意だ。16年の経験で得た教訓は、銚子のことばかり話しすぎないこと。「アピールしたい銚子の魅力を一方的に話すだけでは、人が徐々に散っていくんです」。

ボランティアなので無給だが、自腹で観光案内のグッズも作る。「銚子電鉄がなくなると、観光客が減って銚子全体がダメになる。存続していけるように、色々な人に応援してもらいたい」と話す。

●寄付のお礼はマフラータオルと1日乗車券

現在進めているふるさと納税のクラウドファンディングでは、1万円以上の寄付をすれば、「お礼」としてマフラータオルと1日乗車券がもらえる。銚子市民は寄付をしてもお礼の品はもらえない。目標金額に届かなかった場合にも、「銚子電鉄のために活用することを検討していく」(銚子市企画財政課の担当者)という。

銚子電鉄では線路1mを修繕するのに10万円、検査に1500万円がかかる。費用負担は重く、ぬれ煎餅の製造・販売を始めたところ、いまでは売上の7割に上るほどの稼ぎ頭に。「もはや鉄道会社ではなく、せんべい屋」とも言われている。

銚子市の人口は1950年ー1960年代には概ね9万人台で推移したが、直近は約6万2000人(2018年6月1日)。他のローカル鉄道の多くと同様に、需要の先細りは今後も大きな悩みだ。経営危機を脱し、将来にわたって安定的な経営をできるかどうか。銚子電鉄の竹本勝紀社長は「目立つ取り組みを続けて、しっかり生き残っていきたい」と語る。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

【銚子電鉄社長、次の企みは「経営がまずい棒」自虐ネタで集客「苦しい時こそ笑いを」】

「お客さまが少ないんで、空気を乗せて走ってるようなもんです」。崖っぷちに立つローカル鉄道が、関東の最東端を走っている。醤油や漁港の街として知られる千葉県銚子市にある銚子電鉄だ。5月中旬、ふるさと納税のクラウドファンディング(https://www.satofull.jp/static/projects/city-choshi-chiba/01.php)で車両の検査費を集める取り組みが始まった。目標金額は1000万円で、8月31日まで寄付を募る。

銚子電鉄の営業区間は、銚子駅から外川駅の6.4km。地元のシンボルとして愛される一方、沿線住民の減少や東日本大震災後の風評被害などの影響を受け、廃線の危機と隣り合わせの状態にある。「苦しい時こそ笑いを」と語る竹本勝紀社長に6月11日、話を聞いた。(概要は以下のとおり)

●収益の柱は「ぬれ煎餅」

ーーいまどのような経営状況なのでしょうか

「年間でおよそ4億8000万円の収入があって、そのうちの約7割が『ぬれ煎餅』による販売収入です。残りが運賃収入ですが、運賃収入の約8割が観光客などが乗ることによる定期外収入となっています。つまり、観光客頼みのアトラクション状態です。現状は残念ながら、単月でみると赤字が続いています」

ーー定期利用者などによる固定収入が多く見込めないのは厳しいですね

「はい。沿線人口は2万人もいません。経済合理性から言うと、ここに鉄道があるのはおかしいんです。でも、鉄道は経済合理性だけでは語れない。少なくなったとはいえ、小学生や中学生、高校生は乗っているし、お年寄りも乗っています。『交通弱者の足』としての機能は失われていないんです」

●「うまい棒」をパクらせてもらいます

ーークラウドファンディングは目標金額の達成ができそうでしょうか

「今のままのペースでは厳しいかもしれないです。目標を達成するために、さらに話題を提供していく必要があると思っています。導火線に火をつけるために、考えていることがあります。経営が『まずい棒』というのをやろうと思っています」(6月13日時点で、寄付合計は67万5000円)

ーーどういうことですか

「やおきん社の人気商品『うまい棒』のパクリです。経営がまずいことになっているので、『まずい棒』という似たお菓子を作って売ろうと思っています。PVも作成します。少しでも話題になって、銚子電鉄を応援してくれる人が増えたらという狙いです。もちろん、やおきんさんには既にお話を通しています」

ーーいつから販売する予定ですか

「7月中には売り出したいと考えています。『苦しい時こそ笑いを』という思いです。目立っていかないと生き残っていけない。我々としては自虐ネタはオッケーなんです」

●銚子のシンボル存続させたい

ーー竹本社長は電車の運転もすると聞きましたが、いつ免許をとったのでしょうか

「2016年に免許を取りました。社員とできるだけ同じ目線でいたかったためです。実技試験が難しかったですが、何とか合格できました。今は他の社員と同じようにシフトに入って、週2回運転しています」

ーー社長に就任したのはいつですか

「2012年12月です。もともと税理士をしていて、社長就任前から銚子電鉄の社外取締役をしていました。前社長が交代するタイミングで就任要請を受けて、引き受けました。人生の集大成は銚子電鉄だという気持ちです」

ーー10年先の銚子電鉄はどうなっているでしょうか

「昨年、台湾の鉄道路線と『姉妹鉄道』になる締結式を開きました。あちらも銚子電鉄と同様に短い距離の路線で、相互に観光客の誘致をより進められたらと考えています。

自分の大きな役割のひとつは、資金調達だと思っています。そのために色々なことに挑戦していきたい。厳しいからといって下を向いていてもどうにもなりません。企業経営としては、会社分割とか大きな会社に株を取得してもらうとか、いくつか選択肢はあるでしょう。銚子のシンボルを存続させなければいけないと思っています」

【プロフィール】

竹本勝紀(たけもと・かつのり)。千葉県出身、56歳。銚子電鉄の社外取締役を経て2012年、社長就任。竹本税務会計事務所代表。大学の非常勤講師としてマーケティングなども教える。乗り物が好き。

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コメント: 1
  • #1

    ヒロ (日曜日, 17 6月 2018 09:48)

    石毛先輩 応援してます。