性教育啓発で法人立ち上げも 元AV女優紅音ほたるさんが伝えたかったこと

元AV女優の紅音(あかね)ほたるさんが先月、死去した。32歳という若さだった。生前、HIV予防やコンドームのつけ方など性教育の啓発に取り組み、2010年には一般社団法人も立ち上げた。紅音さんが伝えたかったことは何か。ともに活動してきた赤枝六本木診療所院長で衆議院議員の赤枝恒雄氏の言葉とともに振り返る。

HIVとAIDS、何が違う? 世界エイズデーに学ぶ

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「毎月第二火曜恒例の渋谷モヤイ像前コンドーム配布♪」

 亡くなる2か月前の7月12日のツイッターで紅音さんはこう呼びかけた。「つけなアカンプロジェクト」と銘打ち、渋谷で若者たちにコンドームを無料配布していたのだ。ツイッターではこうした投稿が定期的になされていた。

 きっかけは「ガールズガード」という活動と、同じく元AV女優でタレントとして活躍した故飯島愛さんだった。

 ガールズガードとは、産婦人科医の赤枝氏が1999年に東京・六本木で始めた活動。当時は第二次援交ブームといわれ、望まない妊娠や性感染症に苦しむ10代の女の子が増えてきたため、六本木のハンバーガー屋の一角に、無料相談室を開設した。その後、ガスパニックというクラブバーでコンドームのつけ方教室を、同じくクラブバーのジャマイカで無料エイズ検査を行っていた。こうした活動に当初協力していたのが飯島さんだ。

●飯島さんにあこがれて

 しかし、飯島さんは2008年12月に亡くなってしまう。紅音さんはその後を引き継ぐ形でガールズガード運動に参加した。赤枝氏は「紅音さんは飯島さんにあこがれて来た」と振り返る。同じ元AV女優で性教育の啓発に取り組む飯島さんに共感する部分があったのだという。

 紅音さんはAV引退後、次第にガールズガードの活動に没頭していく。

 ガスパニックでは週1回、多くの人に、コンドーム装着への意識を高めてもらうために、男性らにコンドームの正しいつけ方を一緒に教えた。この教室では高校生ら若いカップル同士でもつけ方の練習をしてもらった。同じく週1回、無料エイズ検査を行っていたジャマイカでは、店前の人通りが少なく、厳しい現場だった。しかし「冬の寒い日もずっと道端に立って『検査を受けませんか?』と呼びかけていた」という。

 「取り組みの姿勢は非常に真面目だった。仕事がない日はほぼ毎回来てくれた。紅音さんが教えてくれるからとコンドーム教室に参加した男性も多くいた。ありがたかった」と感謝する。

●リスクを知らない

 赤枝氏や紅音さんは、なぜここまでコンドームをつけることを強く訴えるのだろうか。

 「若者たちはセックスのリスクを知らない」。赤枝氏はこう警告する。

 ガールズガードの活動を続ける中で、赤枝氏はたくさんの10代女性の性をめぐる現状を見てきた。相談室には、妊娠が進行して中絶もできないような「手遅れ状態」で来る10代が多くいたという。話を聞いていく中で、若者たちがコンドームをつけずに、肛門性交や3人以上での性交など無謀で危険なセックスをしている実態も分かった。

 性感染症に苦しむ女の子たちも多かった。2000年当時に赤枝氏らが六本木交差点周辺で行った調査では、受診した125人中(平均年齢18.7歳)のうち、28.8%が「性器クラミジア」、9.6%が「淋菌」、3.2%が「性器へルペス」に感染。性感染症の一種である「膣カンジダ」(49.6%)まで含めると、8割超が何らかの性病や疾患を抱えていた。

 エイズの危険性もある。赤枝氏のもとに駆け込んだ中には、中2でエイズになり、20代で亡くなった女の子もいた。彼女は毎週末の金土日にクラブで徹夜で踊りにあけくれる生活を送っていたという。

 それでも、10代の性感染症は減少傾向にある。厚生労働省の資料によると、15~19歳の男女の感染状況は、淋菌が2002年の2325人をピークに2015年には640人まで減少。性器クラミジアは6801人(2002年)から2438人(2015年)、性器ヘルペスが550人(2003年)から277人(2015年)となった。

 一方、HIV感染者は、総数こそ2009年に初の減少となったが、依然1000人超で推移。29歳以下に限れば、2009年以降も再び増加し、2014年には365人と過去最多を記録している。日本学校保健会のレポートでは「10代の女性と45歳以上の女性は、いずれも他の年齢層の女性に比べてHIVに感染しやすい」と注意を促す。

 10代の人工妊娠中絶も、2000年初頭の13%を最後に2014年には6.1%まで減った。ただ、日本性教育協会のレポートは、「中学・高校生の性交経験率やローティーンでの出産数は、絶対数は少ないものの横ばい以上」と指摘するなど、セックスの低年齢化が問題となっている。

●AVをうのみ

 赤枝氏は「コンドームをつければ、ほとんどの性病は防げる」と訴える。

 しかし、コンドームをつけないで性交渉に及ぶ若者は少なくないようだ。その要因として、赤枝氏は「コンドームの値段」を挙げる。例えば5個入り500円と比較的安価なコンドームがあったとしても、若者には「高すぎる」と言うのだ。1週間で2箱消費するとしたら「牛丼が2杯食べられる」と考えるのだという。

 「つけると気持よくない」という誤解もあるという。「いつもつけていれば『変わらない』と思うはずだが、つけていないから分からないのだろう」。また、「コンドームは最後までつけるのが大事。途中でつけたり、最後に外すのではダメ」とも語り、正しくつける重要性を強調した。

 そして、アダルトビデオの影響の大きさを指摘する。例えば、コンドームをつけずに性行為をする演出などを挙げ、「こうした間違った情報をうのみにする子どもが多い。『正しいAVの見方』のようなものが必要かもしれない」と提案する。

 若者には性に対する無知さが目立つといい、性教育の必要性を痛感する赤枝氏。ともに活動してきた紅音さんに対して、ゆくゆくは育児をして子どもの性教育で活躍することも期待していたという。紅音さんが推進してきた「つけなアカンプロジェクト」は2010年に一般社団法人化され、自ら代表理事になった。「法人も立ち上げて本気だった。無念だったろう」。

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コメント: 1
  • #1

    不与取 ふよしゅ (日曜日, 25 9月 2016 09:36)

    与えずに取る事は、仏教では悪とされている。どれだけ人様に与えているか、今一度、 己の振る舞いを振り返ってみましょう。まず与えよ。