廃棄カツ取引業者ら3人を逮捕 壱番屋から転売、詐欺容疑

 カレーチェーン店「CoCo壱番屋」を運営する壱番屋の冷凍カツが横流しされた事件で、愛知、岐阜両県警は12日、廃棄カツを食品と偽って販売し、代金をだまし取ったとして、詐欺や食品衛生法違反の疑いで産業廃棄物処理業「ダイコー」(愛知、事実上倒産)の会長、大西一幸容疑者(75)ら3人を逮捕した。

 壱番屋の他、流通大手や食品会社が廃棄処分を決めた商品も市場に流したとみられ、両県警は捜査を本格化させ、不正流通の全容解明を目指す。

 他に逮捕したのは、製麺業「みのりフーズ」(岐阜)の実質的経営者、岡田正男容疑者(78)ら2人。

廃棄食品、愛知県が撤去へ…悪臭懸念

県費4000万円投じ

 愛知県稲沢市の産廃業者「ダイコー」による廃棄食品横流し事件で、県は1日、同社本社と県内の3倉庫で保管し、撤去が滞っている廃棄食品を撤去することを明らかにした。廃棄食品の約半分で処分のめどが立たず、気温上昇で悪臭なども懸念されることから県費約4000万円を投じて撤去する。【道永竜命、岡正勝、永野航太】

 県によると、ダイコーの施設に保管された廃棄食品は8981立方メートル。うち約3600立方メートルについて、県は2月、廃棄物処理法に基づき、ダイコーに5月17日までに処理するよう改善命令を出した。だが、ダイコーは事件の影響で事実上経営破綻したため、排出元の74社に撤去を要請し、50社が計733トンを撤去。残り約5300立方メートルも、排出事業者に撤去を求めた。しかし、4765立方メートルについては撤去のめどが付いていない。

 県は、当事者である業者に代わって処理を行う民法上の「事務管理」の規定に基づき、撤去する。強制的に撤去する「行政代執行」も検討したが、手続きだけで少なくとも3カ月半程度もかかる。いずれの方法でも撤去費用を業者に請求できるが、破綻したダイコーから支払いを受けるのは困難な見通しだ。

 産廃業界などが無償で運搬や中間処理、最終処分を行い、分別や積み込みなどの費用は、県が今年度予算の予備費から3969万円支出。稲沢市も数千万円程度を負担する。

 撤去完了まで3〜4カ月かかる見通し。記者会見した大村秀章知事は「梅雨入りし、夏がくることを考えると放置できない。苦渋の決断」と述べた。

 ダイコーの倉庫は岐阜県海津市と三重県いなべ市にもあり、計約4000立方メートルの廃棄食品を保管。海津市の倉庫では4月末現在、メーカーなどが786立方メートルを自主撤去した。いなべ市の倉庫でも約50立方メートルが撤去された。岐阜県廃棄物対策課は「現段階で県が手を出すことは考えていない」としている。三重県も排出事業者に自主撤去を求めていく方針だ。

廃棄食品横流し事件◇

 今年1月、「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(愛知県一宮市)が廃棄したはずの冷凍カツが愛知県内のスーパーで販売されていたことから、問題が発覚。産業廃棄物業者「ダイコー」などが廃棄食品をスーパーなどに横流ししていたことが判明した。愛知、岐阜の両県警はダイコーを廃棄物処理法違反容疑で家宅捜索し、詰めの捜査をしている。

コメント: 1
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    高幡不動 (木曜日, 14 7月 2016 21:28)

    こんな業者がいるから業界が悪く思われるんだよね。