新宿ゴールデン街3棟延焼 昭和の長屋店舗焼けた

昭和ロマンあふれる長屋店舗の連なる東京・歌舞伎町の繁華街「新宿ゴールデン街」で12日午後1時半ごろ、火災が発生した。警視庁四谷署や東京消防庁によると、バーが入った木造2階建てから出火し、隣接する建物に延焼。計3棟、延べ約300平方メートルを焼いた。60代の女性1人がけがをした。戦後まもなくできた長屋店舗と細い路地の街でポンプ車が入れない地域での昼火事に、周辺は一時騒然となった。

 幅4メートルもない細い路地に、小さなバーやスナックが入った2階建ての木造長屋が並ぶ新宿ゴールデン街。約60メートル四方の区域に300店舗近くがひしめく独特の街並みで白昼、赤い炎と大量の黒煙が上がった。

 午後1時半過ぎ、近くの雑居ビルで仕事をしていた自営業女性(73)は、サイレンの音と、焦げたような臭いに気が付いた。ベランダへ出ると、辺り一面が煙に覆われ、現場の建物の屋根の上まで炎が上がっていた。「パーン、パーンという爆発音もした。向こう側が見えないほど、煙が巻き上がっていた」。

 午後1時50分ごろ、ゴールデン街でバーを経営する和井田修一さん(70)は店にいて、突然の停電に驚いた。「外に出たら、火災報知機が鳴っていて、火事と分かった」。周辺では一時、約500軒が停電した。

 消防のポンプ車が次々と到着するが、路地が狭く、入ることができない。付近の消火栓にホースをつなぎ、電動の小型ホースカーで現場近くまでホースをのばして放水した。燃えている建物近くの高級ホテル正面にもポンプ車が止まり、消防隊員が1階通路にホースを通してホテル裏の現場に放水した。1時間が過ぎても周辺には濃い煙が立ちこめ、呼吸が苦しいほどだった。

 現場の建物は、ゴールデン街の北西端で路地の角地。東隣の店舗、南隣の店舗にも火は燃え広がった。さらに、路地を挟んだ西側にも延焼した。頭上に張られた無数の電線を火が伝ったとの情報もある。四谷署などは今日13日に実況見分して出火原因を調べる。

 ゴールデン街で飲食店を営む男性によると、現場の建物は1950年ごろから続く店。「先代の女性経営者の息子が継いで今の店になった。内外装はリフォームしたが、壁の中の電線はそのまま。ネズミも多いし、原因が漏電だったら人ごとじゃない」。

 ゴールデン街ではランチ営業を行う店は少なく、発生時間帯は人の少ない時間帯だった。バーを経営する男性は「夜なら、人がいるから、ぼや程度で済んだかもしれないが、最近増えた外国人観光客も含め、大勢がひしめく夜にこんな火事が起きていたらと思うとゾッとする」と話した。【清水優】

 ◆新宿ゴールデン街 花園神社と新宿区役所の間に広がる木造長屋建ての飲食店街。もともとは非合法の青線地帯だったが、1958年(昭33)の売春防止法施行後、飲み屋街となった。70~80年代の全盛期には200以上の店が連なり、田中小実昌さんや野坂昭如さんら人気作家、編集者、ジャーナリスト、映画・舞台関係者が集まるサブカル、アングラ文化の発信地だった。バブル期に地上げに遭い、空き地、空き店舗が増加。一時は140店まで減ったが、2000年以降、新たに開店する店が増えた。

 ◆歌舞伎町の火災 歌舞伎町では今年1月、2丁目のラブホテル街で火災が連続した。1月7日、ホテルまつきから出火し、60代の女性客1人が死亡。1月9日にはホテルゴールデンゲイトで出火した。けが人はなかったものの、副支配人がその後、現住建造物放火で逮捕された。01年9月1日には雑居ビル火災でセクキャバの客、従業員ら44人が死亡する惨事が起きている。

ゴールデン街火災は放火か 出火直前に不審な男性

東京・歌舞伎町の新宿ゴールデン街で12日、発生した火災で、火元とみられる建物に、火災直前に60代後半から70代とみられる、不審な男が出入りしていたことが13日、分かった。

 ゴールデン街内の新宿三光商店街振興組合の組合長を務める、石川雄也さん(42)は報道陣の取材に「何か、飲みながらフラフラ歩いていた男が(新宿三光商店街内に)16台ある防犯カメラのうち、僕が知るだけで3台に映っていました」と明かした。

 男は12日午後12時半から1時過ぎくらいの時間帯に、出火元とみられる建物の2階に入り、5分くらいして出てきた。その後、出火したという。

 石川さんは俳優の傍ら、今回、火災に遭った建物の1つで、Barダーリンとスナックハニーのマスターを務めていた。2階のハニーは焼け、ダーリンも水浸しになってしまったという。それでも組合長として「各店舗に、火災報知機と消火器は設置していました。防災の講習も年に1、2回、消防署の人に来てもらってやっていた。高圧ホースも組合で用意していました」と、防災対策を徹底していたと強調した。

 新宿ゴールデン街では、17日から「桜まつり」を開催する予定だった。火災を受けて緊急理事会を開き、現状では予定通り開催の方向で調整を進めているという。石川さんは「このまま、やりましょう、盛り上げましょうということで話をしています。(火災に遭った店は)2、3カ月は営業できないけれど、みんな明日はわが身と思って(助け合いの気持ちで)やっている。早く復活して、元気にやっているところを見せたいです」と気丈に語った。

俳優野見隆明ぼう然「燃えないで」火元付近バー店長

昭和ロマンあふれる長屋店舗の連なる東京・歌舞伎町の繁華街「新宿ゴールデン街」で12日午後1時半ごろ、火災が発生した。警視庁四谷署や東京消防庁によると、バーが入った木造2階建てから出火し、隣接する建物に延焼。計3棟、延べ約300平方メートルを焼いた。

【写真】さや侍の野見隆明、韓国で爆笑取った!

 ゴールデン街の火災現場から60メートルほど離れた吉本興業東京本社に、ぼうぜんと立ちすくむ男がいた。11年にダウンタウン松本人志(52)が監督した映画「さや侍」に主演した俳優野見隆明(59)だ。燃えた建物の中に入る、バー「流民(リウミン)」で週に4日、雇われ店長を務めていた。日~火曜と金曜の出勤で、この日は勤務の前の出先で火災を知って駆けつけた。

 「もう、だめ。何も話せない」と、もうもうと煙が立ち上る光景が信じられない様子。「店の中には荷物も置いてある。身の回りの品とか、パスポートとか重要書類もある。放水でびしょぬれになっていてもいいから、燃えないでいてくれたら」と声を震わせた。

 野見は日本テレビ系トーク番組「松本紳助」を観覧していた時に松本の目に留まり、03年にフジテレビ系人間観察ドキュメント「働くおっさん人形」で芸能界デビュー。吉本興業で用務員をしたり、バーテンダーをしていたが、11年に「さや侍」主演に抜てきされた。12年3月には同作の演技が認められて「第35回日本アカデミー賞」の新人俳優賞に高良健吾(28)桜庭ななみ(23)らと共に選ばれている。

 俳優とは言っても、野見にとって生活の糧は「流民」での稼ぎが頼り。「こんなことになって、明日からどうしたらいいのか」とうつむいた。周囲からは「これをきっかけに、売り出せば」という励ましの声もあったが、還暦を来年に控えた野見にとっては、むなしく響くばかりだった。【小谷野俊哉】

最終更新:4月13日(水)15時59分

日刊スポーツ

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コメント: 2
  • #1

    名無しさん@ (水曜日, 13 4月 2016 16:37)

    さや侍 見ましたよ。笑えて泣けました。頑張って下さい。
    ゴールデン街は不滅です。

  • #2

    ゴールデン街 大好きっ子 (水曜日, 13 4月 2016 16:41)

    大正ロマン・昭和の思い出。消すことは出来ません。頑張って下さい。
    応援しています。桜まつり 必ずやって下さい。歌舞伎町・大久保の皆と
    行きますからね。また6件 はしご酒やりましょう。