東日本豪雨 浸水想定周知足りず 専門家「ハザードマップの理解促進必要」

鬼怒川が決壊した茨城県常総市では、河川の氾濫による浸水想定を示した「ハザードマップ」が作られていたが、今回の災害でも十分に活用されていなかった。専門家は、住民に分かりやすく周知するためにも、自治体で防災に精通した専門職員の育成が急務だと指摘している。

 市は平成21年にマップを作成し、市内の全戸に配布した。今回の浸水域はマップとほぼ一致するが、自宅が浸水した男性(28)は「家にあるとは思うけれど、ちゃんと見たことはない。何十年も水害なんてないので大丈夫だと思っていた」と話した。

静岡大防災総合センターの牛山素行(もとゆき)教授(災害情報学)は「マップなどソフト面の対策は仕組みをつくるだけではだめ。情報の出し手である自治体と、受け手である住民の双方が意識的に努力しないと機能しない」と指摘する。

マップでは、市役所は1~2メートル未満の浸水が予測されていたが、市は今回、「ここまで水はこない」と判断し災害対策本部を設置。結局マップ通りに浸水して機能不全となった。

牛山教授によると、多くの自治体で防災専門知識を持つ職員がいないのが現状という。

住民がマップを理解し自助に役立てることが理想だが、牛山教授はその前提として、「職員が地域防災の核になり、マップの読み方などを住民に分かりやすく伝えられる体制づくりが必要」と指摘。東日本大震災後、政府が自治体職員向けに実施している「防災スペシャリスト養成研修」などの活用を提案している。

最終更新:9月13日(日)11時55分

産経新聞