<熱中症>5月も注意 急な気温上昇、体が追いつかず

5月に入り早くも熱中症とみられる救急搬送者が相次いでいる。総務省消防庁によると、5月10日までの2週間に全国で891人に上る。九州・山口でも同期間中、100人(いずれも速報値)に達した。消防庁は例年より調査開始時期を前倒ししており「初夏は急に気温が高くなり、体が暑さに追いつかない」と注意を呼びかけている。【吉川雄策】

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 消防庁によると、昨年6~9月、熱中症で救急搬送されたのは全国で4万48人。13年同期より約3割少なかった。例年搬送者が多いのは7、8月だが、昨年は6月が4634人、9月が1824人で、ここ2年は6月の方が多い。

 昨年の調査開始は5月19日。6月1日までの2週間に1928人が搬送され、4人が死亡した。初夏の動向をより詳細に把握するため、今年は4月27日から調査を始めた。すると、5月3日までの1週間で557人、5月10日までの1週間で334人を数えた。福岡市消防局によると、5月4日に10代の女性2人が救急車で運ばれた。ゴールデンウイーク中の搬送者は、同市内では5年ぶりだった。

 なぜ初夏は危険なのか。気温が急に高くなるため、気温30度を下回っていても暑さに慣れていないため汗がうまくかけず、体温調節ができない。また、湿度が高まる梅雨は、皮膚の温度が下がりにくく要注意。気温が高くない初夏でも、湿度が50%を超えれば危険性は高まるとされる。環境省は、気温や湿度などを加味して熱中症の危険度を示す暑さ指数「WBGT」を全国841地点で算出しており、13日以降、ホームページ上でメールアドレスを登録すると、同省のデータの無料配信を受けられる。

 昨年6~9月に全国で搬送された熱中症患者のうち46%が65歳以上の高齢者。高齢者は発汗機能が衰え、気温上昇や喉の渇きを感じにくい。内科医で福岡大スポーツ科学部の上原吉就(よしなり)教授(循環器内科学)は「体重が2%減ると熱中症の危険が高まる」と話しており、エアコンのある自宅や公共施設を利用したり、1時間ごとに100ミリリットル程度の水を飲むことを提案している。

 身長が低く地面からの熱の影響を受けやすい子どもも注意が必要だ。上原教授は「帽子の着用に気を配って。米国の学校ではWBGTなどを利用しており、日本でも活用してほしい」と話している。

 福岡管区気象台によると、九州・山口の気温は5月~6月上旬は平年より高く、6月中旬~7月はほぼ平年並みと予想している。

 【ことば】熱中症と暑さ指数(WBGT)

 熱中症は、気温や湿度が高い環境下で体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調整機能が崩れるなどして発症する。めまいやだるさ、頭痛、吐き気、失神などの症状があり死亡の危険性もある。熱中症の危険度を示す国際的指標がWBGT。気温、湿度、輻射熱(ふくしゃねつ)などから算出し、31度以上が「危険」、28~31度未満が「厳重警戒」、25~28度未満が「警戒」、25度未満が「注意」。厳重警戒以上は熱中症患者が著しく増えるとされるが、昨年5月30日には警戒だった福岡市で小学生14人が搬送された。

最終更新:5月13日(水)19時52分

毎日新聞