アマゾン、楽天が誘発、コンビニ拠点"争奪戦"

 

ネット通販の拡大を受けて、リアルの拠点争奪戦が活発化し始めた。楽天は「EC(電子商取引)のさらなる普及には、さまざまな受け取り方法を実現する『受け取り革命』が重要になる」(三木谷浩史会長兼社長)として日本郵便と提携。4月から都内25の郵便局にロッカーを設置し、新たな商品の受け取りサービスを開始した。楽天市場の約300店が参加する。

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 一方、アマゾンジャパンは、ローソンやファミリーマートなどのコンビニ(合計約2万5000店)、ヤマト運輸の事業所とも連携し、すでに多くの受け取り拠点を全国に配備している。ネット通販企業が拠点拡大にも力を入れるのは、自宅以外の場所でいつでも受け取れるという利便性を高めるためだ。

■ 佐川急便が抱えていた課題

 右肩上がりの成長を続けるネット通販の市場規模は今や10兆円を超す。日本郵便の高橋亨社長が「ここで数字を伸ばせなければ、われわれの事業に先はない」と危機感を示すように、宅配事業者は通販拡大に伴う配送需要の囲い込みに必死だ。

 こうした中、宅配便で2位の佐川急便を抱える、SGホールディングスが動いた。ローソンと提携、6月に設立する合弁会社SGローソンでは、都内約100店を拠点化し、小口宅配を展開する。2017年には拠点を1000まで拡大したい考え。7月からは、全国約1万2000店のローソンで、宅配便を受け取れるサービスも始める。

 佐川はもともと企業間の配送が発祥。配送拠点数が約770と、ヤマトホールディングスや日本郵便よりも少なく、商品の留め置き場所も自社拠点に限られていた。拠点数が少ないと配送ルートが長くなるため、再配送時の機動性にも影響する。ドライバー不足や人件費上昇が深刻化する中、各社は再配送のコスト削減に腐心している。

 ローソンとの提携は、コンビニを商品の受け取り拠点にするだけでなく、新たな配送拠点にも活用することがポイントだ。これによって、拠点数の少なさから来る課題を、一挙に解決しようとする試みとも言える。

が、これまでローソンと親密な関係を築いてきたのは、日本郵便だ。宅配便「ゆうパック」の取り扱いのほか、郵便局を併設した「JPローソン」も約20店展開している。

 かつて04年にゆうパックを始めたことで、ヤマトがローソン店頭での宅配便サービスをやめた経緯があった。4月7日の提携会見で、日本郵便との関係悪化の懸念を問われたローソンの玉塚元一社長は、「JPローソンを拠点に今回のような取り組みも検討する。関係は継続し、さらに強化していきたい」とした。

■ ローソンは提携拡大も

 実は今回、佐川と組んで展開するコンビニからの配送について、ローソンは日本郵便にも同じ提案をしている。

 結局、実験段階に近い取り組みで、再配送の効率化が見極めにくいことから、提携は見送ったが、「関心はそうとうある。後々、当社も参加する可能性がある」(日本郵便関係者)と語る。全国2.4万局を誇る郵便局でも、配送拠点は約1100にすぎない。ローソンの取り組みを注視するのは、再配送の効率化という点で、佐川と同じ課題を抱えているからだろう。

 一方、業界トップのヤマトは、約4000の配送拠点を有し、きめ細かい再配送ができる。加えて、無料会員登録をすればローソンなどを除く大手コンビニの大半(約4万店)で、宅配便を受け取れる態勢も整えている。「顧客の利便性を考えると、特定のコンビニと親密化するのは得策ではない」(幹部)と、あくまで全方位外交を貫くスタンスだ。

 配送拠点化はコンビニ側にもメリットがある。一つは手数料収入が増えること。もう一つ大きいのが、「ついで買い」だ。ローソンでは荷物を受け取りに来る人のうち、約5割が買い物をしていくという。コンビニ業界は出店競争の激化で、1店当たりの客数が減少傾向にある。店頭での受け取りは、ありがたい来店動機になる。

 今回、ローソンはSGローソンでの配送を通じて、「お客様のいろいろなニーズに応えていきたい」(玉塚社長)と意欲を示す。単なる来店待ちではなく、配送先との接点を生かし、ローソンの商品販売につなげようという狙いだ。ただ佐川側は「(荷主以外の)製品を推薦することは信義則上できない」(SGHD首脳)と否定的。両者の思惑にはズレも見られる。

■ 独自路線を貫くセブン

 ネット通販や物流会社との連携強化について、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は「組んでもうまくいかないと思う。(お客を呼びたいなら)自分たちでやればいい」と言い切る。コンビニ大手3社で、セブン-イレブンだけがアマゾン商品の留め置きを行っていないのは、「アマゾンが何度お願いしても、セブン側が首を縦に振らない」(流通コンサルタント)からともいわれる。

 セブンは10月から、グループの商品を一括して扱う新たな通販サイトを始め、コンビニからの配送も独自に行うなど、連合を形成するローソンとは正反対だ。一方、サークルKサンクスを傘下に持つユニーとの経営統合に動くファミリーマートも、異業種から見れば拠点数は魅力的なはず。全国で5万を超すコンビニの“活用”を狙い、合従連衡がさらに進みそうだ。

(「週刊東洋経済」2015年4月25日号<20日発売>「核心リポート01」を転載)

田野 真由佳,石川 正樹,山田泰弘

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最終更新:4月20日(月)6時0分

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