【土方のウチのジジイの話】


高度成長期末期の昔話。

 

とある突貫現場工期が押していたので、ジジイに建設会社の現場監督から応援要請。

ジジイは職人総動員で何日も徹夜して、柱やなんかをなんとか作り上げて納めた。


ところが、支払いの話の段になって、

監督が「客から金をもらっていない」「赤字現場で金は無い」とかのらりくらりと支払いを拒む。


ジジイからしたら相手は若造

立場もわかると、現場事務所で紳士的に話し合いをしていたが、

 

監督が「下請の分際でしつけーんだよ!おめーら出入り禁止だ!」とキれた。

 


ジジイ、「わかりました。それでは結構です。」と。

 

監督の目の前で、脇に座っていた職人の番頭に、

「ウチは手を引く。全部撤収な」と指示。  


番頭はその場にいた手下に総動員指令。

現場に納めた自社の納品物全部を回収。

どうしたかって、完成間近の建物の、自分達が納めた柱やなんかを根こそぎ切り落とし、トラックに載せて搬出。


建築会社の担当社員達が飛び出してきて体を張って止めに入ったが、サラリーマンと職人では腕力に雲泥の差。

見る見る血染めになる打ったばかりのコンクリート床。

同じように支払いを拒まれていたほかの下請業者も悪乗りして搬出に協力w。

あっというまに丸々1工区分を解体、撤収してしまった。


監督は裁判だなんだと息巻いたけれど、
番頭の「うちの若いモン、監督さんの自宅に送ろうか?」でぐうの音も出なかったそう。


ジジイは、監督が現場資材を水増し発注して自宅を新築したことを知っていた。


直後、建設会社とジジイの間で何やら話がまとまり、未払い分は全額支払い、監督島流しで手を打ったと。

その後、ジジイと職人は更に徹夜して、超突貫で同じものを作って納めて話が丸く収まったとのこと。

結局ジジイにしてみれば改めて作った分金が掛かったが、建設会社には請求せず、自分の儲け全部放り投げて下請に払ったとのこと。


職人たちは自分達の面子が立ったと
大喜びだったそうです。