騒動が終わった今、大塚久美子社長がすべてを振り返る本誌に再び激白「経営で成果を上げることが第一」

磯山 友幸

経済ジャーナリスト


記者会見する大塚家具の大塚久美子社長(撮影:後藤麻由香)

 経営権を巡る父娘の争いが前代未聞の委任状争奪戦(プロキシーファイト)に発展していた大塚家具。3月27日に行われた株主総会では、大塚久美子社長が会社側提案として出した取締役選任議案が株主の支持を得て可決され、久美子社長の続投が決まった。一方で、父で会長の大塚勝久氏による株主提案は否決され、勝久氏と長男で専務だった勝之氏は取締役から外れた。株主総会の結果をどう見るのか、また、今後はどうなっていくのか。大塚久美子社長に聞いた。

(聞き手はジャーナリスト、磯山友幸)

会社側提案と勝久氏の株主提案は、最後まで勝敗が分からないと見られていました。

大塚:お陰様で会社側提案が、出席議決権の61%の賛成を得て可決されました。大塚家の保有株を除くと80%以上の株主の皆様のご支持をいただいたことになります。今回の騒動について心よりお詫びすると共に、深くお礼を申し上げます。引き続き社長として経営にあたる重責を噛みしめているところです。

親子喧嘩として取り上げられることが残念だった

総会に向けた委任状争奪戦の過程では、週刊誌などが人格攻撃のような記事を掲載するなど、かなり報道が過熱しました。

大塚:メディアを通じて虚実入り乱れた様々な情報が流れました。残念だったのは、私が訴え続けてきた上場会社としてのコーポレート・ガバナンス(企業統治)の問題として捉えられるのではなく、単なる親子喧嘩として取り上げられる傾向が強かったことです。

 機関投資家の皆様や多くの法人株主は、ガバナンスが重要だという私の説明に理解を示していただきました。個人投資家向け説明会でも非常にレベルの高い質問をいただき、株主の経営に対する意識の高さを痛感させられました。そうした株主の多くが会社側を支持していただけたのはありがたい限りです。

大塚勝久会長(当時)が記者会見の際にひな壇の後ろに幹部社員を並べ、社員は自分側についているというアピールをしました。

大塚:会見に幹部社員を動員したり、署名を集めたりするなど、騒動の渦中に社員を巻き込んだことには、本当に残念で、申し訳ない事だと思っています。

そうした会長側に付いた幹部社員は今後どうなるのでしょうか。

大塚:私は「総会が終わったらノーサイドなので、お客様を向いて仕事をして欲しい」と訴えてきました。就業規則に故意に違反するような活動をしていた場合は別として、今後、会社のために誠心誠意働いてくれるという気持ちがある人たちについて責任を問うようなことはしないつもりです。

第一四半期の業績厳しく、立て直したい

 営業の最前線である店長についても当面は1店舗しか代えません。私が昨年7月に解任された後、8月と11月の人事異動で店長から外れたベテラン管理職などにも、指導的な役割を担ってもらい、私が目指して昨年までやっていた路線に早急に戻していきたいと思います。

今も前会長流の店舗運営が続いているという指摘がありますが、社長は1月に交代しているのでは。

大塚:1月末に私は社長に復帰しましたが、総会までは前会長が営業部門を統括し続けていました。実際には前会長の方針による店舗運営が続いていたのです。広告宣伝も既に4月分まで会長の方針で決まっています。残念なことですが、騒動の影響もあり、経費をかけた割には来客数、売り上げは伸びておらず、第一四半期である1~3月期はかなり厳しい状況です。早急に営業体制を立て直して、挽回したいと思います。

どんな手立てを打つのですか。

大塚:名称は決めていませんが、ご心配をおかけしたお客様へのお詫びと感謝の気持ちを込めたフェアなど販売の企画も考えています。年間を通しては、まだまだ取り返せると思います。

昨年7月に前会長によって突然解任されるまで、5年間社長を務められ店舗改革などを進められてきたそうですが、解任後は会長によって大きく方針転換されていたのですか。

前会長に廃止された通販サイト、富裕層向け顧客サービス

大塚:社長を解任されて以降、私が進めてきた事業はことごとく廃止されました。通販サイトを閉めたり、富裕層向けの「プレミアムクラブ」という顧客サービスも3月末で廃止になってしまいます。前会長は高級路線でいくといっていたはずですが。ご迷惑をおかけしているお客様にはお詫びの言葉もありません。

前会長が「悪い子供を作った」「久美子はまだ反抗期」といった発言をされていたこともあり、父娘間の家族問題であるという印象が強くありました。これに対して社長は、上場企業のガバナンスの問題だと繰り返し主張されてきましたね。

前会長や前専務とは、最後まで話がかみ合わず

(撮影:磯山友幸)

大塚:前会長や勝之前専務は、今回の問題を本当に、家族の感情のもつれだと思っているのかもしれません。株式公開企業のあり方を問題にしている私とは最後の最後まで話がかみ合っていませんでした。上場企業の経営者は(株主など)他の人のものを預かっているに過ぎません。経営権を巡る争いと言われましたが、経営権とは権利ではなく、責任を伴った権限だということを、前会長らはまったく理解しようとしませんでした。

創業者はやはり、会社は自分のモノだという意識が強いのでしょうか。

「自由にできないなら壊した方がいい」と感じているように見えた

大塚:創業者というのはそういうものなのかもしれません。いつまでも自分のモノだという意識が消えないのでしょう。自分の自由にできないなら壊してしまった方がいいと感じているようにすら見えます。

勝久氏の株主提案は否決されたとはいえ、依然として18%の株式を持つ筆頭株主であることは変わりありません。

大塚:前会長は新聞のインタビューで再度の株主提案を示唆していましたが、株主総会での投票結果からすると、実際には同じことをやるのは難しくなったのではないでしょうか。

経営で成果を上げることが第一

 私たちとしては、どのような株主様が会社側提案に賛成してくださったのかなど、状況を精査して、来年の総会に向けた対策を考えたいと思います。経営安定化のためには、きちんと株主に評価していただけるように、経営で成果を上げることが第一です。

今、前会長に言いたい事は何でしょうか。

前会長は、会社のことを本当に考えていたのか?

(撮影:磯山友幸)

大塚:今回のような騒動を大株主として起こすやり方は、会社のことを本当に考えているのなら、あり得ないことだと思います。こんな騒動を今後も繰り返すようだと、本当に会社はダメになってしまいます。総会で株主の皆様から審判を頂いたのですから、前会長には、その結果を真摯に受け止め、当社の企業価値向上という共通の目標に向けてご協力いただけると期待しています。

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 株主総会の結果を受けて、大塚勝久氏は以下のようなコメントを出した。

「このたびの騒動に関しては、すべて私の不徳の致すところでございます。心からおわび申し上げます。ご支援たまわりました皆さまお一人お一人に深く感謝申し上げます。株主の皆様のご判断を真摯に受け止め、まっさらな気持ちで出直します」

 まっさらな気持ちとは何なのか。大塚家具のために今後、どんな行動を取ろうとしているのか。是非インタビューして聞いてみたい。