【出直しは、いつでもできる!!】

【3分で読める『致知』の感動する話】
  「人生を変える魔法の言葉」
 ~トーイズ社長・北原照久さん~
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 66年の人生を振り返ってみると、  
 私はこれまで思い描いた夢を
 すべて実現させることができている。
 
 17歳の時に憧れの加山雄三さん、
 吉永小百合さんに会いたいという
 夢を持った。

 その後、20歳の時にはフォードの
 高級車・サンダーバードが欲しい。
 おもちゃの博物館をつくりたい。
 30代では豪邸に住みたい。

「そんなの無理だ」
 
 ほとんどの人からこう言われた。
 誇大妄想狂やほら吹き、
 狼少年と揶揄された。

 ところが、37歳の時、
 横浜にブリキの
 おもちゃ博物館を設立し、
 49歳の時に500坪の豪邸を、
 50歳の誕生日にサンダーバードを
 手に入れ、52歳の時に
 加山さんと、還暦の年に吉永さんと
 お会いすることができた。
 
 いまでは周囲から

「世界的なおもちゃコレクター」

 と称されるようになり、
 6つの博物館を経営し、
 年間約150本の講演、
 累計71冊の著書を
 出すまでになったのである。
 
 なぜこうも運よく夢を
 実現させることができたのか。
 そう考えた時、私の中に一つの
 答えが浮かび上がった。

「すべては出逢いである」
 
 人との出逢い、物との出逢い、
 そして言葉との出逢いが、
 自分の人生をよい方向に
 導いてくれたと思わずには
 いられない。
 
 私は1948年、
 北原家四人兄弟の
 末っ子として生まれた。

 上の3人は皆、近所でも
 評判になるほどの秀才だった。
 それに対して私の成績は
 体育を除いてオール1。

 親は寛容だったが、
 学校の先生からは
 常に兄たちと比較される。
 このことが勉強嫌いに
 一層拍車をかけた。
 
 中学に入ると、勉強が
 できないため授業をさぼるのが
 当たり前になり、盛り場に
 入り浸って喧嘩をしたり、
 悪友と遊びに耽るように
 なっていった。

 揚げ句の果てには、
 中学校3年生の2学期に、
 ある事件をきっかけに
 退学処分を食らったのである。
 
 この時が私の人生の
 どん底だったかもしれない。

 退学になったその日、
 私はひどく落ち込み、
 親に合わせる顔がないと思うと、
 なかなか家に帰ることが
 できなかった。

 ところが、打ちひしがれていた
 私を見るにつけ、 
 母はこう言ったのである。

「おまえの人生はこれで
 終わったわけじゃない。
 これから先の人生のほうが
 ずっと長い。

 だからめげることないよ。
 人生はやり直しはできないけど、
 出直しはいつでもできる」
 
 この母の言葉は、
 そのままダメになってしまい
 そうだった私を救ってくれた。
 
 その後は実家のスポーツ店を
 手伝うつもりだったが、
 父の勧めもあって高校へ
 進学することになった。

 一学年800名のうち、
 成績はどん尻の800番。
 ここでも素晴らしい先生との
 出逢いが劣等感の塊だった
 私の人生を変えてくれたのである。
 
 入学して間もない頃、
 3択式のテストがあった。

 全く答えが分からなかったが、
 たまたま直感が冴えていたのだろう。 
 そのテストで私は60点を取った。
 
 すると、担任の沢辺利夫先生は
 我が事のように喜び、
 思いもかけない言葉を掛けてくれた。

「北原、すごいな! 
 おまえはできないんじゃなくて、
 やらなかっただけだ。
 やればできるぞ」
 
 本心から褒めてくれた先生の
 この言葉が私の心に火をつけた。

 また先生に喜んでもらいたい、
 褒めてもらいたいとの一心で、
 アルファベットもろくに書けない
 状態から猛勉強を積み重ねていった。
 
 努力する、成績が上がる、
 褒められる、また努力する……。

 その繰り返しの果てに、
 学年最下位だった私は799人を
 ごぼう抜きし、学年トップで
 卒業式を迎え、総代として
 謝辞を述べるまでになったのである。
 
 この3年間で私は

「やればできる」

 という自信を身に
 つけることができた。

 これは私の原点であり、
 この時に、真の人生のスタート
 地点に立つことができたと思う。

 ゆえに、両親と沢辺先生には
 感謝しても感謝しきれないし、
 言葉のもつ力の大きさを
 実感するようになった。
 
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 自分が口にした言葉を
 最初に聞くのは誰か。
 それは話し相手ではなく、
 自分なのだ。

 だから、いつも不平不満や愚痴、
 悪口、恨み、妬みを発している人は、 
 それを相手にぶつけている
 つもりでも、実は自分自身に
 ダメージを与えている。
 
 私は20歳の時に、
 オーストリアに留学した。
 
 そこで古い物を大事にする
 文化に感銘を受け、柱時計を
 皮切りに明治から昭和に
 かけてのおもちゃやポスター、
 雑誌、小説、レコード、
 文具等々……自分がときめく物を
 ただひたすら収集するようになった。
 これまで46年間で集めた
 コレクションの数は実に4㌧
 トラック百台以上にも上る。
 
 その間、私が心掛けてきたのは

「絶対に人の悪口を言わない」

 ということだ。

 私一人では到底これだけの
 コレクションを集めることは
 不可能だった。
 無数の人たちとのご縁が
 あってこその産物なのである。

 悪口を言う人のところに
 人は集まらないし、
 運も離れていってしまう。

 だから私は、どんな不条理なことを
 されても決して悪口や負の言葉を
 発しないようにしてきた。
 
 人生はよいことばかりではないし、
 かといって悪いことばかりでもない。 
 バイオリズムがある。

 だからこそ、
 よい時には「感謝」をし、
 悪い時には難が有るから
「有り難う」と言う。

 いつも「感謝と有り難う」を
 口ずさんでいると、
 運命はよくなり、
 人生は好転していく。

 これは私の心からの実感である。

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「人生を変える魔法の言葉」 

 北原照久(トーイズ社長) 

『致知』2014年11月号
 特集「魂を伝承する」より

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