【危険ドラッグ】

吸引後の事故や救急搬送が後を絶たない危険ドラッグ。まん延が続く最大の理由は、規制してもすぐに新たな物質が現れることだ。規制の網をすり抜け新たなドラッグを送り出す側と、防戦に必死の規制側……。「いたちごっこ」の最前線を追った。【堀智行】

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 ◇未規制成分・混合増え

 化学物質の名前が記されたピンクやブルーの包みの写真が並ぶ、あるインターネットサイト。日本や欧米の十数カ国の国旗をクリックすると、それぞれの言語で表示される。包みは危険ドラッグの原料とみられ、通信販売で海外から手元に届く。薬物事件に詳しい小森栄弁護士は「クリック一つで数キロ単位の原料が買える。そんなサイトが急速に増えてきている」と語る。

 危険ドラッグが流通し始めた2010年ごろは、欧州などから持ち込まれた既製品が多かったが、今では国内でも製造されている。原料は、中国の化学メーカーなどが製造したものを仲介業者を通じて購入するのが主なルートだったが、最近は販売サイト経由も増えているという。「日本の規制が及ばない原料を仕入れ、見よう見まねでドラッグを作れてしまう恐れがある」。小森弁護士は危機感を強める。

 危険ドラッグの流通を遮断するには薬事法に基づく「指定薬物」にするしかない。だが、危険ドラッグの成分を調べ、国や都道府県による規制の根拠を導き出す役割を担う検査機関も、次々に現れる「敵」に対応できているとは言い難い。

 東京都健康安全研究センター(東京都新宿区)は、危険ドラッグの販売店などから試験購入した年間約110製品を鑑定。すりつぶして抽出した液体を検査機器にかけ、パソコン画面で薬物検出を示すチャートが跳ね上がるのを確認する。地道な作業で成分を特定していく。指定薬物は約1400種類まで増えたものの、検査した製品から見つかることは少ない。その一方で、8割以上から未規制の新成分が検出される。2~3種類の危険ドラッグを混ぜたもの、解析に使う機器では検出できない物質を組み込んだものもあり、現場を悩ませる。守安(もりやす)貴子・医薬品研究科長は「構造の分かりにくいものをどんどん入れてくる。日本国内の規制内容や検査体制を研究し、裏をかこうとしているように感じる」とまで話す。

 指定薬物の照合や検出ができる機関は全国にある。だが未規制の物質ばかりだと、分子構造を一から解析して複雑な化学式を組み立て、成分を特定しなければならない。複数のデータを基に研究員が原子の配置を予測し、分子構造を確定していく「パズル」のような作業が求められる。それには専門的な技術と1億円以上する検査機器が必要で、1物質の解析に数カ月かかることもある。この作業ができるのは同センターと国立医薬品食品衛生研究所、大阪府立公衆衛生研究所の3機関ほどしかなく、計10人前後の研究者が担っているのが実情だ。

 厚生労働省は来年度から国の検査態勢を強化し、年間の検査件数を現状の10倍に拡充する方針を打ち出したが、解析時間をどれだけ短縮できるかは不透明だ。都は先回りして規制できるように、新製品が出回る欧州の危険ドラッグの流通情報も注視している。守安科長は「売ろうとした危険ドラッグにすぐに規制がかかったとなれば、販売から手を引く人も出てくる。鑑定を迅速に進め、まん延阻止につなげたい」と話す。

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コメント: 1
  • #1

    人間失格プログラム(パケ) (日曜日, 26 10月 2014 09:03)

    一回だけでも、やったらやばい。マリファナなんか比じゃない。ガツンと効きすぎる。冷たいよりも、やばい。