【戦争体験】

【それなのに友だちと私は涙をぽろぽろ流しながら
「さよなら」と唯それだけしかいえませんでした】
【戦争体験】
 友達は電話の交換をやったらすこしは眠気もさめるかもしれないし、
夜はあまり仕事も多くないから、やってごらんよといってくれました。
ぱあっと赤いランプがつくとその同じ色のランプの課へつなぎます。
話の内容は聞けませんが、おわるとまたランプがつくので簡単でした。
いくらか気分も変わりつかれや眠気も忘れたようでした。 
と、突然外部からの連絡です。男の人の声で一人の声ではありません。
「変な連絡よ」私はすぐ友だちにかわってもらいました。
普通は話は交換では聞かないのですが、友だちはどこへもつながずに、
だまって聞いています。 そして私に早くそばへきて聞いてという合図をします。私は何かさっぱりわからないままに耳にその声を受けてみました。 
どこからかしら、なぜかしら、と不審顔で、
でも聞こえてくる声は非常に若々しく元気な声です。しかも何人かの声です。
「聞いてください。聞いてください。ぼくたちの最後の声を、聞いてください。
だれか知りませんが、聞いてください。ぼくたちのわかれのことばを
祖国よさらば、元気にいきます。
ぼくたちは明日の朝、敵艦に体当りします。
ぼくたちは進んでこの任務を果します。
ぼくたちは国のためよろこんでいきます。
あすの朝、敵艦に体当りしたラジオでも聞いたら
ばんざいといってください。」 
口々にそう云って、最後にみんなで歌をうたってくれました。
それは当時はやっていた歌だったと思います。

“さらば元気でいてくれよ
 ながの別れが明日となる
 恋の豊橋 あとにして
 ゆめは 爆音に
 ああ 消えてゆく”

そして「さらば さらば さらば」と口々にいい、
「がんばってくださいね。最後の声を聞いてくださってありがとう。」 
もうそれっきり再び何も聞えてはきませんでした。 
友だちと二人で聞いていたその声は何と元気な声だったでしょう。
 少しの悲しさも、さびしさも感じられませんでした。
それなのに友だちと私は涙をぽろぽろ流しながら
「さよなら」と唯それだけしかいえませんでした。

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8月15日 今日は 69回終戦記念日です。
家族そろって墓参りをし、迎え火をたき、お線香をたてた時、
ふと、「平和なんだな」としみじみ感じます。
残念ながら、世界には、今も戦争で苦しんでいる人がたくさんいます。
戦争のない平和な世界がくる日を、願わずにはいられません。
 

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コメント: 2
  • #1

    どんとまいんど (水曜日, 20 8月 2014 16:38)

    戦争の無い社会になる様祈ります。

  • #2

    ナチス水晶の夜 (木曜日, 22 9月 2016 19:46)

    ヒトラーが、始めた戦争で5500万人の尊い命が亡くなった。許されない独裁者だ。しかし、そいつもまた人間で決してモンスターでは無かった。人の心には、残虐性が潜んでいる。自己コントロール出来なくなれば人間失格。常に己に厳しく生きたいものだ。