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銚子サンマ水揚げゼロ 1950年以降では初の事態 漁師ため息、漁船の燃料高騰も

 銚子漁港の今年の年間水揚げ量(速報)が23日、銚子市から発表され、「12年連続日本一」を確実とする一方、全国的不漁のサンマはゼロが確定的となった。三陸沖などが主な漁場にならなかったのが主因で、水揚げゼロは1950年以降では初の事態。漁船の燃料高騰も拍車となり、地元漁師からため息が聞かれる。

 全国さんま棒受網漁業協同組合によると、今年11月末時点のサンマ水揚げ量(北海道―千葉)は1万7869トンで、最低だった前年の同期から微減。北海道から東に離れた北太平洋の公海や道沖が主漁場になり、三陸沖や常磐沖の日本近海に群れは見られなかった。

 銚子のサンマ水揚げは2009年に約6万1千トンを記録したが、18年は4339トン。19年は620トンに激減。昨年にいたっては地元の市漁協所属船が遠い公海で漁獲した18トンにとどまった。

 市漁協によると、水揚げゼロは1950年以降で初。市漁協の鈴木英之参事は「全国的に同じような状況なので仕方ない。資源が回復してまた銚子に揚がるようになれば」と話した。

 今年、地元から出漁した2隻のうちの1隻、第一太幸丸の浅野修漁労長(55)は「船の燃料代もかかる。天候も悪い」とし、漁期終盤の今月5日に今季の漁を切り上げたという。

 市内の魚店「鮮魚 魚道」店主の梅原広樹さん(40)は「気になっていたが、まさか水揚げがないとは思わなかった」と落胆。新鮮なサンマの刺し身はファンが多く、今年も客の問い合わせがあったという。

 梅原さんは「燃料代も高いし大変だと思う」とする一方で、来年に向け「みんなが待っているので、また銚子に揚がってほしい」と願った。

 越川信一市長は23日の定例会見で「以前はサンマが銚子まで下ってきてイベントで炭火焼きを配るなどしていた。銚子の水揚げの代名詞のような魚種。(ゼロには)大変ショックを受けている」とコメント。「水産加工でサンマを主力とする会社があり、サンマ以外の魚に転換することができるか課題。銚子の水産経済にとってもマイナス」と懸念を示した。