激流に耐え命救った白い家、胸中にあったのは大震災

関東・東北水害で、大きな被害が出た茨城、栃木両県では13日も行方不明者の捜索が続き、新たに男性3人の死亡が確認された。このうち1人は、茨城県常総市が鬼怒川の堤防決壊前に避難指示などを出していなかった三坂町で発見された。同市高杉徹市長は記者会見で「行政上のミスだった」と認めて謝罪した。一方、三坂町の住宅が流される中で、一軒の白い家がそのままの形で残った。ネット上では、頑丈な家が危機的状況にあった近隣住民の命を守ったと話題になった。

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 常総市三坂町の堤防決壊現場で、周囲の住宅が流されたり半壊する中、1軒の白い家がそのままの形で残った。流れてきた家を受け止め、さらには濁流の中、電柱につかまった男性が助かった要因になったとみられている。電柱は、白い家のすぐ下流に立っており、家により水流も弱まったとインターネットなどでたたえられている。

 この様子は、テレビ中継され、ネット上でも「あの白い家はすごい」と、話題になった。家の持ち主、中沢和弘さん(44)によると、3年前に新築したという。中沢さんは、「東日本大震災があったので、妻と相談して地震に強い家にしたかった」と、建築理由について明かした。この家は鉄筋2階建てで、基礎部分にはコンクリートの基礎の他に、18本のくいが地中に打ち込まれているという。

 堤防が決壊した時には、中沢さんの妻と2人の子どもが家にいた。中沢さんは「この家なら大丈夫。外に出るより家の中にいた方が良い」と、家族に指示したという。流されてきた家を受け止めた時には、大きな衝撃だったというが、外壁も無事。その後、家族はヘリコプターで救助された。1階部分が浸水し、基礎部分の土もえぐられたため、すぐに帰宅はできないが、中沢さんは「何より家族が助かったので良かった」と語った。

 この日、現場を見に来たという、施工した旭化成ホームズの「ヘーベルハウス」の関係者は「家の方が無事で良かった。再建には、できる限り協力したい」と話した。【上岡豊】

最終更新:9月14日(月)13時11分

日刊スポーツ