2017年の事務用品通販アスクル物流倉庫火災は段ボール回収をしていた愛知県の業者の作業が原因だったとして、アスクルが業者に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、約51億円の支払いを命じた。アスクルが明らかにした。

2017年に埼玉県三芳町の事務用品通販アスクルの物流倉庫で起きた火災は、段ボール回収をしていた愛知県の業者の作業が原因だったとして、アスクルが業者に約101億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、約51億円の支払いを命じた。アスクルが明らかにした。
アスクルなどによると、業者と段ボールなどの再生資源の販売契約を結んでいた。火災当時、業者の従業員がフォークリフトで作業をしていた。
火災は17年2月16日に発生。鎮火したのは同28日だった。
アスクル倉庫火災、業者に51億円賠償命令
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アスクル倉庫火災、段ボール回収業の宮崎に51億円の賠償命令…東京地裁
「従業員は着火の可能性を予見できた」と認定する判決に
最新鋭の戦略物流拠点の火災により損害が拡大
宮崎「判決内容を精査して適切に対応」
アスクル火災 「余分な労力かかる」 書類送検の男性供述 「効率化」重視し過ぎ、消防法違反
埼玉県三芳町の通販会社「アスクル」の物流倉庫で発生した火災で、県警に消防法違反容疑で書類送検された物流センター長の男(44)は違法保管について、「出荷作業に支障を生じさせないため」と供述していることが28日、県警への取材で分かった。効率化を重視し過ぎた結果、消防法を軽視していた実態が浮き彫りになった。フォークリフトから出火した原因も判明。県警は関係団体に情報提供し、再発防止策を求めた。(宮野佳幸)
県警によると、倉庫を管理する子会社「アスクルロジスト」(東京都江東区)=同容疑で書類送検=は物流倉庫とは別に、地元消防から許可を得て、約15メートル離れた場所に通常より多くの量の危険物を保管できる危険物貯蔵所があった。
計286品目、約1万2千点の殺虫剤などの危険物があったが、基準を超えた分の危険物を貯蔵所で保管しなかった理由について、男は「余分な時間と労力がかかるので、貯蔵所に移さなかった」と説明。県警は、出荷遅れを恐れ、違法状態が常態化していたとみている。
出火原因をめぐっては、フォークリフトのエンジンルーム内に段ボール片が入り込み、エンジン付近の高温になる金属製の管に触れて発火、床にある他の段ボールに燃え移ったとみている。火災が起きた端材室は多量の段ボールが堆積。高さ約3メートルもの段ボールが積み上がっていることもあったという。
県警は業務上失火容疑でも捜査していたが、同型機種のフォークリフトで同様の事故が起きていない▽エンジンルーム内に紙片が入ることが予想できない▽フォークリフトを端材室に導入し火災が起きたケースがない-の3点から立件見送りを決めた。
一方、県警はフォークリフトが出火元になったとみられることから、フォークリフトの製造事業者らが参加する一般社団法人「日本産業車両協会」に火災の経緯について情報提供。再発防止のための注意喚起を依頼した。
同協会の高瀬健一郎専務理事は「このような環境で使うこと、そこで火事が起きたとも聞いたことがないので驚いた。再発防止のために適正な使い方をお客さまにお願いする」と話した。
アスクルは「このような事態は極めて遺憾。関係者の皆様には多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを改めて深くおわび申し上げます」とコメントした。

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