· 

【第3回 ブラック企業大賞2014!!】

第3回 ブラック企業大賞2014 大賞・各賞を発表いたしました


9月6日(土)、ブラック企業大賞2014の授賞式を開催いたしました。
大賞・各賞は以下のとおりと決定いたしました。



●ブラック企業大賞: 株式会社ヤマダ電機

●WEB投票賞 :  株式会社ヤマダ電機


●業界賞

   【アニメ業界】株式会社 A-1 Pictures
  【エステ業界】株式会社 不二ビューティ
                     (たかの友梨ビューティクリニック)

●特別賞 : 東京都議会


●要努力賞 : 株式会社ゼンショーホールディングス(すき家)



====================
★WEB投票+会場投票の結果★

 1位 ヤマダ電機     5256票
 2位 東京都議会    3207票
 3位 タマホーム     2439票
 4位 リコー       2314票
 5位 秋田書店     1420票
 6位 A-1 Pictures 1130票
 7位 たかの友梨ビューティクリニック 1049票
 8位 大庄       837票
 9位 JR西日本  679票
10位 ゼンショーホールディングス 570票
11位 正智深谷高校&イスト 401票

====================
本年も多くの方にご注目・ご参加いただきましてありがとうございました。

2014年9月6日
ブラック企業大賞実行委員会

ブラック企業大賞「ヤマダ電機」問題がマスコミで報道されない理由

 9月に発表された「ブラック企業大賞2014」。長時間労働やパワハラなどで悪質だとされる企業を選出する「ブラック企業大賞」を今年受賞したのは、家電量販店業界の最大手・ヤマダ電機だった。ヤマダ電機といえば、2000年代に急成長(1996年には家電量販店業界9位だったが02年には1位に上り詰めた)、売上高1兆8900億円を超える家電量販店業界ナンバー1。今回の受賞理由は、このヤマダ電機で自殺者が続出しているためだ。

・04年9月、神奈川県内の店舗に勤務していた当時29歳の契約社員の男性が、勤務時間中に職場の近くで首吊り自殺。
・07年9月、新潟県柏崎市の店舗に勤務する当時23歳の男性社員(Aさん)が、過労の末に社宅で首を吊り自殺。Aさんは23歳で正社員未経験ながら売り場の『フロア長』になるよう命じられ、いきなり『管理職』として扱われた。労働基準監督署は、関係者の証言や警備記録などからAさんが自殺する直前1カ月間で少なくとも106時間21分の残業をしていたと結論。特に亡くなる前の1週間の時間外労働は47時間30分と極度に多いことを認め、労災認定をした。
・13年7月、営業不振に苦しむ福島県田村市の店長(当時39歳)が練炭自殺。

 他にも「週刊文春」(文藝春秋)13年12月19日号が報道したヤマダ電機の内部資料によると、13年9月7日以降の4週間で、残業時間が40時間を超えた従業員は全国607店舗で1819人。さらに46人の店長が、厚生労働省の定めた『過労死の危険ライン』の月80時間を超えていた。つまり毎日4時間の残業を余儀なくされている。にもかかわらず、店長の給料は平均して手取り月40万円程度。残業代もほぼ支払われていないという。

 無理な出店計画と過重労働……急成長の犠牲になったかのように社員の自殺が後を絶たないヤマダ電機。しかも、13年のケースでは、ヤマダ電機は遺族側の主張に真っ向から反論し、訴訟に発展しているという。

 「ブラック企業大賞2014」実行委員会の水島宏明・法政大学教授は、「ヤマダ電機はウェブ投票でも最多の票数を集めた。過労自殺を繰り返しているという点や、反省の色が見られないことなどを勘案して、総合的に選んだ」と説明している。

 しかし、気になるのは、今回の「ブラック企業大賞」は昨年のワタミフードサービス(居酒屋チェーン大手)と比べて、報道が少ない点だ。エステサロン大手「たかの友梨ビューティクリニック」を運営する不二ビューティのブラックぶりを批判するニュースは見かけるが、ヤマダ電機のブラックぶりを告発するニュースにはなかなかお目にかからない。「ブラック企業大賞」主催者であるブラック企業大賞実行委員会の実行委員(佐々木亮弁護士)は、講評でこうコメントしている。

「ヤマダ電機という会社は、ワタミやゼンショーに比べるとメディアで取り上げられていない。ところがウェブ投票では、票の伸びが違ったし、あわせて社員からも悲痛な叫びが寄せられた」

実は、ヤマダ電機は、12年だけでも、244億円の広告費を投入している大スポンサーなのだ。この規模は「単独決算の企業別ランキング」の7位に入っており(日経広告研究所「有力企業の広告宣伝費」/12年)、事実上、広告費が主な収入源であるマスコミにとって、批判することはタブーとなっているのだ。

 たとえば、ヤマダ電機では、メーカー派遣者問題も抱えている。メーカー派遣者問題とは、家電量販店が家電メーカー側に新装・改装オープンなどの際に、従業員や派遣労働者をヘルパーとして派遣するように要請すること。こうした派遣自体は小売業界では慣例的にあることで、それぞれ自社商品の販促を行う限りは法的な問題はない。ところが、ヤマダ電機の場合は自社(メーカー)商品の販促以外のヤマダ電機の業務(棚卸し、陳列、清掃など)を行わせ、相当の対価(報酬)を支払っていない。つまり、自社の従業員のように扱い、人件費圧縮のためのタダ働きをさせていたのだ。これは職業安定法44条の二重派遣(偽装請負)にあたる行為で、07年1月23日付の「読売新聞」が「ヤマダ電機職安法違反の疑い」というスクープ記事を掲載したこともある。

 だが、 読売はここからヤマダ電機追及キャンペーンを行なうかと思いきや、一切続報が報じられなくなってしまったのだ。

『非情な社長が「儲ける」会社をつくる 日本的経営は死んだ!』(有森隆/さくら舎)はその中止の裏側を読売関係者のコメントという形で紹介している。

「ヤマダ電機からの強い申し入れがあったのです。(中略)折り込み広告を入れていますが、これが膨大な金額(中略)。中止の要請は東京から来たようです。老川大阪本社社長は、社内で『東京が言っているから仕方がないだろう』と話していた」

 ヤマダ電機の経営企画室も読売側への申し入れをしたことは認めており、事実上、折り込みチラシ広告が(社内の自主規制にせよ)読売新聞を黙らせたことになる。しかし、08年に公正取引委員会が立ち入り検査に動き、メーカー派遣者問題に排除措置命令を出したことで、読売のスクープ記事の正しさが裏付けられた格好だ。

 広告主には逆らえないマスコミがブラック企業を増長させてきたといえるかもしない。
(小石川シンイチ)

訴訟圧力でブラック批判を黙らせるヤマダ電機に未来はあるか!?

長時間労働やパワハラなどでブラック企業大賞2014を受賞したにもかかわらず、昨年のワタミフードサービスとはうってかわってメディアからほとんど厳しい追及を受けなかったヤマダ電機。その理由について、前回、新聞やテレビにバラまかれている大量の広告の存在があると指摘した。

 だが、メディアの腰が引けている理由はそれだけではない。実はヤマダ電機は批判記事に対して、訴訟で対抗してくる傾向があるのだ。

 

 たとえば、前回の記事で「週刊文春」(2013年12月19日号)が過酷な労働条件を記録したヤマダの内部資料をすっぱ抜いたことを紹介したが、ヤマダ電機はその発売当日に、文春を相手取って名誉毀損訴訟を起こしている。

 いや、ブラック企業批判だけではない。ヤマダ電機は、どのメディアもやっているような顧客満足度調査の結果に対してまで、訴訟を起こしている。

 訴えられたのは経済誌「日経ビジネス」(日経BP社)。同誌では、毎年、アフターサービスの満足度に関するアンケート調査を行なっているが、07年度調査よりランキング項目に「家電量販店」が設けられると、ヤマダ電機が18社中18位の最下位に。しかも、満足度指数はダントツの最下位で、「『電話に出ない』『店員が少ない』『長く待たされる』など現場の人員不足による不満が多い」とサンザンな評価が掲載された。

 しかし、この結果に納得がいかないヤマダ電機側は、翌年度(08年度)調査(08年7月28日号)で再び最下位になると、発行元の日経BP社に5500万円の損害賠償を求める裁判を起こしたのである。この訴訟は結局、10年12月の判決で「ランキングの根拠となった調査には、恣意的な結果が生じるような事情はなかった」とヤマダ側の請求が棄却されている。

 ところが、それでもヤマダ電機の訴訟は止まらない。12年には、「日経ビジネス」の12年のアンケート結果(ケーズデンキが1位でヤマダ電機が最下位)をコピーして店頭で配布していたケーズホールディングスを営業妨害として提訴している。

 ちなみに、13年からはヤマダ電機はある調査会社の「2013年度CS(顧客満足度)アワード 家電量販店部門」で1位を獲得したことを広告に大々的に打つようになる。今年も、この調査会社より「2014年度CS(顧客満足度)アワード 家電量販店部門」もヤマダ電機が1位を獲得した事実も公表されているが、なぜか公表されるのは「家電量販店部門」だけで、他の部門は公表されていないという不可思議さが漂う。

 いずれにしても、こうした客観的な顧客による評価までを訴訟の対象としてくるヤマダ電機の対応に、メディアはどんどん腰が引けているというのが実情なのだ。

「訴訟はある意味、広告引き上げよりきつい。今の裁判システムでは訴訟を起こされたら、9割が報道したメディア側の敗訴。しかも、損害賠償額の基準もあがっており、弁護士費用もバカにならない。そのためか、数年前から訴訟を起こされると会社から編集者や記者が責任を追及されるようになった。そうなると、編集者もサラリーマンですから、批判を書けば訴訟を起こしてくるような政治家や団体、会社については、どんどん記事を書かなくなっていく」(週刊誌記者)

 しかし、訴訟や情報操作で批判記事をつぶすやり方は、長い目で見れば、ヤマダ電機にとってもけっしてプラスにはならないだろう。マスコミは沈黙しても、ヤマダ電機に対するユーザーの悪評はネットを通じて確実に広がっている。 

 ヤマダ電機は力ずくで批判報道をつぶす前にまず、やるべきことがあるのではないだろうか。それは、やはり労働条件の改善だ。ヤマダ電機がどういいつくろうと、その顧客満足度の低さの背景に、売り上げ至上主義と社員に対する過剰な圧迫があることは、否定しようのない事実だ。

 たとえば、ヤマダの店内には万引き対策や、顧客満足度の向上という名目で、監視カメラが設置されているが、その映像は高崎の本社でチェックされていて、従業員の顧客対応など本社で気になることがあれば、すぐに電話がかかってくる仕組みだ。また、店員全員が情報共有のツールとして、インカムをつけているが、フロア責任者や店長が、インカムを通して「今日の自分の売上額、言ってみろ」「そのお客落とせなかったら、転職候補な」などと暴言を吹き込んでくることもあるという。そうした暴言が理由で急性ストレス障害と診断され退職した店員までいる。

 さらに、店長となれば、売り上げ目標も過酷で、近所のライバル店の売り上げをすべて奪ったとしても達成できないような数字を設定される。成績が悪ければ、テレビ会議で中継される店長会議で徹底的に糾弾される。この吊るし上げに耐えきれず、出社ができなくなる店長や辞意を漏らす店長も続出しているのだという。

 こんな状況で、顧客を満足させられるようなサービスなどできるはずがない。おそらくこの労働環境を改善しないかぎり、社員だけでなく顧客の不満もどんどん広がり、やがて同社の経営を圧迫することになるだろう。

 ヤマダ電機の経営思想は「人こそがヤマダ電機の宝であり、礎である」というものだという (「PHP Business Review」2012.7.8「特集 全員経営の凄み 山田昇」)。ならば、店舗拡大のために社員を犠牲にするような労務管理を一刻も早く辞めて、ほんとうの顧客サービスを提供できる労働環境の整備と人材教育をすべきではないのか。
(小石川シンイチ)

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    山田より伊藤 (日曜日, 21 12月 2014 19:29)

    ブラック企業にスタートして、ブラック企業で終わった年でしたね。ヤダヤダ。ヤマダ。

  • #2

    悲しき自殺者達。 (水曜日, 21 1月 2015 22:00)

    自殺者を大量に出す会社は、ブラック企業と言う言葉では、おさまらないのではないか!労働基準監督署 何やってんだよ。ちゃんと仕事しろよ。調べろよ。どれだけ皆んな苦しんでいることか。甘ちゃん達よ。給料泥棒。