【官邸の圧力!?『報道ステーション』で安倍批判をした 古賀茂明が番組を降ろされた!】
リテラ(田部祥太記者)2015.02.16⇒
http://lite-ra.com/2015/ 02/post-869.html
日本エジプト経済合同委員会合における安倍内閣総理大臣 政策スピーチ-平成27年1月17日、動画9分48秒か ら「ISIL(イスラム国)と戦う周辺国に2億ドル出し ます」の首相発言⇒...
http:// nettv.gov-online.go.jp/prg/ prg11128.html?t=103&a=1
平成27年2月12日第189回国会における安倍内閣総 理大臣施政方針演説、
演説締めくくりに憲法改悪について言及、公務員としての 憲法99条違反⇒
http://www.kantei.go.jp/ jp/97_abe/statement2/ 20150212siseihousin.html
古賀茂明氏といえば、元経産官僚ながら歯に衣着せぬ批 判で知られる評論家。とくに昨年9月に『国家の暴走 安倍政権の世論操作術』(角川oneテーマ21)を上梓 してからは「安倍政権による“軍事立国”化を食い止めよ !」と“反安倍”の姿勢を鮮明にしていた。
その古賀氏が、定期的に出演していた『報道ステーショ ン』(テレビ朝日系)のコメンテーターを3月一杯で“更 迭”されることになった。
かねて安倍官邸から敵視されていたため、いつかこんな 日が来るのではないかと心配されていたが、直接のきっか けと見られているのが先月1月23日の放送だ。ISIL による人質事件の最中でほとんどのメディアが政権批判を 控えているなか、敢然と、しかも痛烈かつ的確な言葉で安 倍晋三首相の外交姿勢を批判したのだ。
古賀氏の論理は明快だった。
古賀氏:
日本政府は、2人の日本人が人質に取られ、後藤健二さん に関しては身代金を要求されていることを事前に知ってい た。「人命第一」に考えるなら、いちばん大事なことは犯 人を刺激しないこと。10億円、20億円程度なら官房機 密費ですぐに払える。1月に首相の中東訪問を控えている なら、それまでに解決しておくこともできた。にもかかわ らず、それをしないでわざわざ、ISILを刺激するよう なパフォーマンスを繰り返し、「ISILと戦う周辺国に 2億ドル出します」と宣戦布告のようなことを言ってしま った。これはISILの側からすれば交渉の余地なしとい うことになる。だったら、宣伝に使うか、思いっきりふっ かけてやろうということになったのが今回の事態ではない か。
古賀氏: ではなぜ、安倍さんは人質が取られていること を知りながら挑発的な言動を繰り返したのか? それは、 「後藤さん犠牲になっちゃうかもしれないけど、でも、も っと大事なことがある」と判断したのだと思う。では、安 倍さんにとってもっと大事なこと、何が第一だったのかと いうと、「ISILと戦っている有志連合の仲間に入れて 欲しい」ということだ。しかし、アメリカやイギリスと一 緒になって空爆を(安倍さんはしたいけど)するわけには いかない。だから人道支援ということにしたわけだ。ただ 、この人道支援はあくまでも「ISILと戦うための支援 ですよ」ということをアピールしたくて、ああいう言い方 になったと思う。
古賀氏: ただ、我々はやはり「日本は戦争をしない国な んだ」というところにもう一度、立ち返らなければいけな いと思う。安倍さんは「有志連合に入りたい」と願ってい るかもしれないが、日本は憲法もあるし、できないはず。 それが今回、安倍さんの発言によって日本の良いイメージ が逆の方向に行ってしまった。日本という国は「アメリカ の正義」を正義と思い込んでいるんじゃないか? アメリ カやイギリスと一緒なんじゃないか? そういうことが世 界に発信されてしまい、ISILにも利用された。しかし 、我々は「いや、そうじゃないんだ」と言うべきだ。「日 本は戦争をしない国だし、日本を攻めてこないような人た ちを一方的に敵だなんて思いませんよ」と、もう一度、世 界にアピールしていく必要がある。
そして、こう言い放ったのだ。
古賀氏: “私はシャルリー”っていうプラカードを持っ てフランス人が行進しましたけど、まぁ私だったら“I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて 、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言って いく必要があるんじゃないかと思いましたね。
時間にしておよそ7分。この“演説”に官邸がどれほど 激怒したことか。放送中から番組関係者の元には数分と置 かず抗議と思しき電話が入った。しかしオンエア中なので 出られず、着信だけがずらりと残り、官邸のイラつきの激 しさがわかったという。そして、あまりに電話に出なかっ たため、最後は怒りのメールで締めくくられた。テレビ朝 日関係者がこう話す。
「官邸からダイレクトに局の上層部にも連絡があったと聞 いています。さまざまなルートでプレッシャーをかけてき た。『古賀に何を言わせてるんだッ』『発言を止めろ!』 って。いつもは番組終了後に反省会があるのですが、あの 日はそれどころではなかったですね」
それにしても、「抗議」というのはどういう了見なのだ ろう。古賀氏は古賀氏の責任において、今回の事態に対す る自らの見解を述べたに過ぎない。しかも、テレビで顔出 しをして。人質解放の交渉の余地があったのになぜしなか ったのか? 人質が取られていると知っていながらなぜ相手を刺激する パフォーマンスを繰り返したのか?
一国民として誰もが抱く疑問を口にして、元官僚の知見か らそれに対する解説を述べただけだ。それが政権にとって 都合の悪い内容だったから、国民に知られてはマズイ内容 だったから、抗議をしたというのだろうか。
いずれにしてもこの一件で、4月以降、古賀氏の姿は『 報ステ』から(おそらくテレ朝全体から)消えることにな った。すぐに降板とならなかったのは、3月一杯の出演日 をあらかじめ決めていたからだ。テレ朝幹部はこの間の古 賀氏の出演日には、どんな言葉が飛び出すか固唾を飲んで 見守っているという。当の古賀氏自身は相変わらずだ。2 月13日の放送でも「先進国のなかで原発が安いと言って いるのは日本だけ」と、健在ぶりを見せつけていた。
実は、今回の古賀氏“更迭”は、本サイトがしばしば指 摘してきた官邸による「報ステ潰し」の一環のようなのだ 。というのも、“粛清”は古賀氏だけではなさそうなのだ 。いま局内で囁かれているのが、メーンキャスターの古舘 伊知郎の信頼が厚く、これまでの『報ステ』路線を支えて きた番組統括の女性チーフプロデューサー、そして古舘と 絶妙なコンビネーションワークで視聴者に人気のあったコ メンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の2人 が、古賀氏と同時に4月から“粛清”されることが決まっ たという。
先のテレ朝関係者が言う。
「チーフプロデューサーは『報ステ』の前身の『ニュース ステーション』時代からディレクターを務めてきた人で、 安倍政権に限らず歴代与党からの圧力にも臆することなく 『報ステ』路線を貫いてきた。古舘さんや恵村さんが自由 にコメントできたのも、彼女の存在が大きかった。それだ けに、上層部が官邸サイドから『あの女プロデューサーを なんとかしろ』と言われているという噂はずっとあった。 その意味で、今回の人事はあまりにわかりやす過ぎ。4月 以降、番組の雰囲気はガラリと変わるかもしれません」
この“粛清人事”を主導しているのは、これも本サイト が何度も書いてきた、安倍首相→見城徹(幻冬舎社長)→ 早河洋(テレビ朝日会長)ラインだといわれている。
安倍首相のマスコミ対策指南役ともいわれる幻冬舎の見 城社長は現在、テレビ朝日の放送番組審議会委員長を務め ていて、審議会の席でもしばしば『報ステ』とコメンテー ターの恵村氏批判を繰り返していたという。
一方、開局以来、朝日新聞社の支配が続いていたテレ朝 で史上初の生え抜き社長となった早河会長の悲願はテレ朝 の「脱朝日新聞化」だ。朝日新聞の不祥事が続いたこの機 に乗じて、一気に達成したいという思惑がある。
この二人が安倍首相の手先となって、いよいよ反原発や 政権批判を続ける報ステの“改革”に乗り出したというこ とらしい。
安倍首相が人質事件の対応であれだけの下手を打ってお きながら内閣支持率が下がらないどころか上昇しているの は、NHKを筆頭にテレビが政権にとって「不都合な真実 」をほとんど伝えていないからだ。これは、再登板した安 倍首相が前政権時代の教訓で早くから報道各社の幹部と会 食を繰り返すなどして、メディアを手なずけることに成功 したからだ。
これで『報ステ』が安倍政権の軍門に下れば、日本のテ レビ翼賛体制はますます強固になるだろう。『報ステ』に はなんとか踏ん張ってほしいと思うが、状況は絶望的とい わざるをえない。
(田部祥太)
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